2006年4月1日(土)「しんぶん赤旗」

主張

消費税18年目

不公平を拡大する最悪の選択


 一九八九年四月一日に自民党の竹下内閣が消費税を導入してから十八年目を迎えました。

 政府が消費税導入の口実にしたのは「福祉の充実」「高齢化社会への対応」です。九七年の増税のときも「安心して暮らせる高齢化社会を構築するため」と説明しました。

 実際には国民の福祉、高齢者のくらしを支える制度は後退に次ぐ後退です。医療負担増、年金支給の削減と大幅な繰り延べ、生活保護の切り下げ、年金課税の強化など数え上げれば切りがありません。導入以来の経過は、政府の説明がまったくの偽りであったことを証明しています。

格差広げる逆進税制

 大企業向けの法人税減税、高額所得層・大資産家向けの所得税・相続税の最高税率引き下げ、株取引・配当減税…。自民党政府は財界の要求に従い、消費税の導入・増税と並行して大企業・大資産家優遇の方向へ税制のかじを大きく切りました。

 八九年以来、国民が納めた消費税は百七十兆円を超えています。ところが、この間、法人税は約百六十兆円もの減収になりました。消費税は法人税の減収の穴埋めにつぎ込まれたに等しいということです。

 政府には消費税収を社会保障に回す気など、初めからなかったと思わざるを得ません。

 消費税は低所得者ほど負担が重い逆進性の強い税制です。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の試算によると、年収が二百万円未満の家計の収入に対する消費税の負担率3・7%に対し、年収が千五百万円以上では1・4%でしかありません。

 逆進性の問題が重大なのは、放置しておけば広がる一方の所得格差を是正するための「所得再分配」に逆行するからです。逆進性の強い消費税を導入・増税し、大企業・大資産家に減税するという税制「改革」の結果、日本の税制の所得再分配の機能は大きく損なわれてきました。厚生労働省の分析によると、税制の所得再分配の働きは、消費税導入前の五分の一に低下しています。

 こうした税制「改革」が、貧困と所得格差の拡大の火に油を注いでいることは議論の余地がありません。

 財政赤字との関係もしっかり見ておく必要があります。

 財政審(財務相の諮問機関)の資料によると、九〇年度から今年度(予算)まで、国債残高は三百七十五兆円も増えました。そのうち公共事業の積み増しによる影響が六十兆円、旧国鉄債務の国民への付け替えや銀行への税金投入などの影響が三十五兆円、税収減の影響が百六十兆円に上ります。

 財政赤字の原因は、圧倒的に政府の失政、大企業・大銀行への大盤振る舞いにあります。同時に、低所得層に重く、税金を負担する財力を持った大企業・大資産家に軽くという逆立ちした税制「改革」が、大赤字の元凶でもあることも明白です。

世論で断念させよう

 谷垣財務相は、消費税率引き上げの法案を来年の国会に提出する考えだと明言しています。小泉首相は「消費税、所得税、法人税、資産税など税体系全体にわたって、あらゆる角度から見直す」とのべています。

 逆立ちした税制「改革」を強引に進めることは、所得格差をいっそう拡大させ、全体として見ると財政にもマイナスとなる最悪の選択です。

 直近の世論調査では消費税の増税に七割の人が反対し、国民の怒りがより深く広がろうとしています。導入十八年目を、国民の世論で消費税大増税を断念に追い込む年にしようではありませんか。


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