2006年4月5日(水)「しんぶん赤旗」
戦前の宗教弾圧とは?
〈問い〉 戦前、宗教もひどい迫害を受けたと聞きましたが、どんな宗教がやられたのですか?(岡山・一読者)
〈答え〉 ナチスによって強制収容所におくられたドイツのマルチン・ニーメラー牧師は、最初に共産主義者が弾圧され、自分が声をあげずにいる間に弾圧は広げられ、ついに教会にいたったときに立ち上がったが遅かった、と述べていますが、日本でも日本共産党を弾圧するための治安維持法(1925年に成立後2度改悪)が宗教にも猛威をふるいました。
宗教弾圧の先触れが1935年の大本教弾圧です。
神殿などをダイナマイトで破壊し、教祖の墓を移して通路にする辱めをくわえ、20人以上が拷問死しています。
ついで、「ひとのみち教団」(現PL―パーフェクトリバティー)、天理教から派生した天理本道などの新興宗教や、キリスト教が、国家神道に反するという理由で残虐な弾圧をうけました。
特高警察月報1937(昭和12)年12月には「仏教方面においても次のごとく戦争行為をもって仏戒殺生戒を犯すものなりとしてこれを罪悪視し……反戦または反軍的言説を弄し……僧侶、布教師等の誤れる言説はその大衆におよぼす影響とくに少なからざるものあるべきをもって、これが視察取締については格別の注意を要する」とあり、私服特高が葬儀や法要も監視しました。岐阜の真宗寺院の竹中彰元住職らもこうして逮捕、投獄されました。仏教徒の組織的な抵抗としては「仏国土の実現」などを掲げた新興仏教青年同盟がありましたが、1937年に「国体の変革」を企図したとして百数十人が検挙投獄され、僧侶資格を奪われるなどの弾圧をうけました。
内務省極秘文書「要注意宗教活動の現況」には「仏教基督教もしくは宗派神道等にありても、そのほとんど全部が教義教理中にかかる反国体思想の素因を内包せざるはなし」とあり、太平洋戦争突入の前年に成立した宗教団体法で信教の自由は圧殺されました。翌年に改悪された治安維持法による宗教関係弾圧事件は1年で1011件と記録されています。
戦争末期では、創価教育学会(現創価学会)の幹部が、「今上陛下こそ現人神」(牧口常三郎)という立場でしたが、「神宮の尊厳冒涜(ぼうとく)」などで逮捕、投獄されています。(平)
〔2006・4・5(水)〕