2006年4月8日(土)「しんぶん赤旗」
「生産手段の社会化」って どういう意味?
〈問い〉 日本共産党の綱領にある「生産手段の社会化」って、どういう意味ですか?(岡山・一読者)
〈答え〉 生産手段とはごく簡単にいえば、物を生産するための原料(=労働対象)と工場・機械など(=労働手段)のことです。いまの資本主義社会は、これをごく一部の人たちが占有し、もうけ本位に生産しており、これが社会のゆがみや環境破壊につながっています。
当面する民主的変革の過程を経て、私たちがめざす次の段階が、資本主義を乗り越えた未来(社会主義・共産主義の社会)への前進です。ここでの変革の中心的な指標が「生産手段の社会化」です。生産手段の社会化を土台にどんな社会をつくるか。第23回党大会で決めた新しい日本共産党綱領はそれを次の三つの側面から描きだしています。
(1)生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。
(2)生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の構成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする。
(3)生産手段の社会化は、経済を利潤第一主義の狭い枠組みから解放することによって、人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的発展の条件をつくりだす。
この変革は、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程です。人類史の新しい未来をひらく歩みですから、青写真はありません。国民が英知をもって挑戦する創造的な開拓の過程となるでしょう。
ですから、新しい綱領では、(1)生産手段の社会化は多様な形態をとるが、どんな場合でも「生産者が主役」という原則を踏み外してはならないこと(ソ連では「国有化」して国家が工場などをにぎりさえすれば、これが「社会化」だということで、現実には官僚主役の経済体制がつくりあげられた。これを絶対にくりかえしてはならないこと)(2)改革の道すじの全体が「市場経済を通じて社会主義へ」という特徴をもつが、どのようにして、計画性と市場経済とを結びつけるのかなどは、知恵の出しどころであること(3)「計画経済」を、国民の消費生活を規制する「統制経済」に変質させてはならないこと―など、基本点を明記しています。(喜)
〔2006・4・8(土)〕