2006年4月12日(水)「しんぶん赤旗」
介護施設519人退所
17都県3カ月で 食・居住費負担重く
保団連調査
全国で少なくとも五百十九人が、食費・居住費の自己負担導入が原因で介護保険施設を退所した――。全国保険医団体連合会は十一日、介護保険の改悪で導入された食費・居住費自己負担による「影響調査」の最終まとめを発表しました。三月二十三日の中間発表から百三十一人ふえました。
調査対象は、各都道府県の介護保険施設や通所施設(デイサービス、デイケア)、短期入所施設。自己負担が導入された昨年十月一日から十二月三十一日までの三カ月の動向を調べました。全国の施設数(一万二千百三十九施設)の約15%にあたる十七都県の千八百五十六施設から回答がありました。
「居住費・食費の自己負担化が原因で退所した方はおられますか」との質問に、二百七十二施設が退所の発生を回答しました。「退所後の行き先」は在宅が二百二十人(42・4%)でトップ。退所者の要介護度は、要介護4が一番多く16・4%、次いで要介護5が13・9%となっており、いわゆる重度の退所者が三割を超えました。
所得別にみると、年金収入二百六十六万円以上の住民税本人非課税者(利用者負担段階第四段階)が二百七十五人(53%)で一番多くなっています。第四段階は低所得者に対する利用料の負担軽減措置の対象となっていません。
保団連は「要介護認定を受けた高齢者の医療及び介護の課題は、深刻な事態に直面している」と指摘。(1)食費・居住費は介護保険の保険給付に戻すことが必要(2)食費・居住費の負担軽減措置の対象に住民税本人非課税者を加え、公費負担を視野に入れた低所得者対策の充実が必要(3)食費・居住費の自己負担を療養病床(医療)に求めるべきではない――としています。