2006年4月12日(水)「しんぶん赤旗」
化学物質の体内蓄積 どうすれば?
〈問い〉 周りをみると添加物だらけで、子どもたちが化学物質を体内蓄積していくとどうなるのか、心配でなりません。日本共産党はこの問題をどう考えていますか?(和歌山・一読者)
〈答え〉 発達、成長途上の段階にある胎児、子どもは体重あたりの化学物質による負荷量が大きく、受けるダメージは深刻です。子どものときの汚染がごく微量であっても、あとで重大な障害をもたらすことが、近年、明らかにされています。幼児の場合、手や物を口にする、床、カーペット、芝生などの場所にいることが多いなど、環境、行動には、おとなと違う特性もあり、この面からの吸収も心配されます。
子どもの安全については、国際的には1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれたリオ・サミットが採択した「アジェンダ21(行動計画)」で、「幼児等を含む脆弱(ぜいじゃく)と考えられるグループの保護、子どもに配慮した汚染や毒性物質の管理施策の確立等」を確認しています。
97年の8カ国環境大臣会合のマイアミ宣言でも、鉛、飲料水、大気、間接喫煙、有害化学物質、地球温暖化が子どもに脅威となっていることから、乳幼児や子どもに十分配慮した対策が必要であると強調されました。
2002年には、WHO(世界保健機関)が、環境が原因の世界全体の疾病のうち40%以上が、5歳未満の子どもに生じていると推定し、子どものぜんそくや鉛、メチル水銀、PCB汚染等による神経発達障害などが重大であるとして、予防原則に基づいた政策的対応をとるよう提言しました。欧米では、すでに10年ほど前から、子どもへの対応を、国の政策課題として位置づけ取り組んでいます。
一方、日本の対応は、子どもに配慮した数種の化学物質や、学校環境におけるシックスクール原因物質の規制、フタル酸ジエチルヘキシル等のおもちゃへの使用禁止、メチル水銀濃度が高い魚介類の摂取をひかえるよう妊婦などに呼びかけるなど、各省ばらばらのごく限られた対応にとどまっています。昨年末、環境省が「小児の環境保健に関する懇談会」をようやく立ち上げ、半年かけて、子どもの脆弱性および子どもの特性に着目したリスク評価の仕方や対応策を検討する作業を始めましたが、今後、欧米のように、国全体としての政策的な位置づけを明確にした総合的な取り組みが不可欠だといえます。
日本共産党は、02年に、疑わしきは罰するという予防原則と同時に、妊婦、乳幼児、子どもに配慮した厳しい規制基準を設定する内容をもりこんだ食品衛生法改正案を国会に提出しました。残念ながら、改正案は日の目を見ませんでしたが、今後の安全に対する考え方の指針となると考えています。(恵)
〔2006・4・12(水)〕