2006年4月13日(木)「しんぶん赤旗」
未来社会 私有財産が大量でも保障される?
〈問い〉 日本共産党の綱領は、将来の社会主義社会でも、私有財産の保障をいっていますが、大富豪のように財産の量(土地、山、金銭)が大量にあっても、保障されるのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 日本共産党第23回大会で新しく決めた綱領では、未来社会(=社会主義・共産主義社会)の変革の中心が、「生産手段の社会化」であり「社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」と規定しました。
私たちの立場は、現在から未来に至る“あらゆる段階を通じて”消費生活のなかでの個々人の私有財産は量の大小を問わず、「社会化」の対象とはしないということです。
かつては、社会主義・共産主義の運動の目標は「私的所有の廃止」という言葉で表現されるのが普通でした。マルクス、エンゲルスの初期の文章でもブルジョア社会の諸悪の根源は「私的所有」と表現され、新しい社会の中心目標は「私的所有の廃止」として定式化されていました。しかし、マルクスは、『資本論』を仕上げていくなかで、「この否定〔資本主義的私的所有の否定〕は、私的所有を再建するわけではないが、しかし、資本主義時代の成果―すなわち、協業と、土地の共同占有ならびに労働そのものによって生産された生産手段の共同占有―を基礎とする個人的所有を再建する」(新日本出版社『資本論』(4)1306ページ)と、生産手段と個人的所有の二つを区別するようになります。新しい綱領はこうした理論の発展をふまえたものです。
現在の資本主義社会のなかで、「ビル・ゲイツら長者3人の資産だけで開発途上国43カ国6億人分の富に相当する」といわれるなど、世界でも日本でも貧富の差はどんどん広がっています。この格差を小さくする方向に政治経済の舵(かじ)を切るかどうか、が問われています。当面する資本主義のわく内で、社会的格差の是正、富の再分配のルールづくりは国民的な議論のなかですすんでいくでしょう。
こうした民主的改革をふまえてさらに前進する未来社会は、生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移すことによって、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくしていく社会です。そこでは、経済の計画的な運営によって、社会的格差の是正がさらにすすみ、個々人の財産は、社会のみんなに、今より豊かに保障されるようになるでしょう。
したがって、未来のその段階では、貧富や所得の大きな格差自体が存在しない社会になっていると展望することができます。(喜)
〔2006・4・13(木)〕