2006年4月15日(土)「しんぶん赤旗」
基地がなくなれば困る人もいるのでは?
〈問い〉 私の住む横須賀にはベース(基地)で仕事をしている日本人がたくさんいます。ベースで働く人を対象とする飲食店もたくさんあります。もし、基地が撤去されたらこの方たちの生活の保障はどうなりますか?(神奈川・一読者)
〈答え〉 全国135カ所の米軍基地は、日本の主権侵害であるばかりでなく、米軍人による事件・事故や環境破壊などの直接の被害やまちづくりの大きな障害となっています。日本共産党は一日も早い基地の全面撤去を求めています。その際、基地労働者や基地関係の仕事を収入源とする人たちに、基地返還後の経済的補償を国の責任でおこなうよう要求しています。
米政府はこれまで、多くの日本人駐留軍基地労働者を雇用していましたが、最近は、米政府の財政事情のもとで大幅に削減し、十分な補償のないまま、解雇をすすめてきました。また、日本政府に対し、日本国民の税金で、給料の一部や手当の負担を押しつけてきました。基地周辺では、基地で働く人たちや米兵を対象にした飲食店や商店がありましたが、基地労働者の激減や「思いやり予算」によって売店や食堂などが基地内に建設されたことから、多くの商店が廃業に追い込まれています。
米軍基地をかかえる都道県知事で構成する渉外知事会は、「駐留軍等労働者対策及び離職者対策の拡充、強化を図られたい」との要望を提出し、離職者を「基本的に雇用主として国に責任があることを明確に」することを要求し、「(離職者の)諸制度の見直し」を要望しています。政府は、こうした現状を調査し、対策をとるべきです。
日本政府は、米軍基地の維持を「国策」だとしながら、日本人労働者の対策には冷たい政策しかとっていません。このような貧弱な対策を改善させることは、基地撤去後の米軍基地労働者や関係者の仕事の補償や生活の補償を確保する上での大事な課題です。
基地を抱えている多くの自治体では、基地あるがゆえに産業が育たず、基地収入と米軍相手の商売への依存が構造化しています。しかし、沖縄の米軍住宅跡地の那覇新都心やハンビー飛行場跡地のハンビー地区など、基地撤去後に商業地として発展し、多くの雇用を生み出している実例が示しているように、基地を撤去してこそ自立的な発展の基礎ができます。
いま米軍再編は、基地機能の強化にとどまらず、日米の軍事一体化によって、日本を、地球的規模での“殴りこみ”戦争の一大拠点に変えようとするものです。日本共産党は、米軍再編による米軍基地機能強化に反対するとともに、基地労働者の労働条件の改善をはじめ、さまざまな要求実現のため力を尽くしたいと考えています。(小)
〔2006・4・15(土)〕