2006年4月20日(木)「しんぶん赤旗」
原油高騰 業者悲鳴
コスト増 生活費切り詰め
世界の原油先物相場は連日、イランなど主要産油国の情勢をめぐって供給不安を強め、投機資金も流入し、ニューヨーク市場で一バレル=七一ドル台を記録(十八日)したのをはじめ、ロンドン、東京の市場でも最高値を更新しています。
原油高は、輸送やクリーニングなど原材料に石油製品を多く使う業界の経営を圧迫しています。
トラックの燃料である軽油の価格(一月、一リットル当たり)は前年比で約十四円の上昇。軽油高止まりのなか、七割を超える業者がコスト増を運賃に転嫁できない状況です。
全日本トラック協会が今年二月から三月にかけて行った調査によると、軽油高騰のコストを荷主に「まったく転嫁できない」と答えた業者は73・1%にのぼりました。
同協会広報部の村田省蔵さんは、「規制緩和で運賃をめぐる競争も激しくなっている。コストが増えた分は運賃を上げてもらわないとやっていけない。しかし荷主によっては経営が苦しく無理がいえない」と訴えます。
仕上げから配送まで、石油製品への依存が大きいクリーニング業界も悲鳴を上げています。溶剤や製品を包装する袋、ハンガーなど材料費は昨年に比べて二割ほど値上がりしているといいます。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会事務局の金子征実さんは「家族経営が多く価格転嫁が容易でない業界では、原材料の値上げ分は、生活費の切り詰めというかたちで響いてくる。石油製品の高騰がどこまで続くのか上限が見えないので不安だ」と話します。
今の原油急騰について、石油業界は、備蓄は十分だとしつつ、中東の情勢不安などを材料に「はっきりした根拠なしに、投機の(対象になっている)恐れがある」(石油連盟)とみています。