2006年4月21日(金)「しんぶん赤旗」
竹島周辺調査問題
日韓が折衝
日韓両国が互いに領有権を主張している竹島(韓国名・独島)の周辺海域を含む排他的経済水域(EEZ)で日本政府が海洋調査を実施しようとしていることに韓国側が反発を強めている問題で、両国政府は二十日、事態の打開に向け、外務省高官レベルの折衝をすすめました。政府は、事態打開のため谷内正太郎外務次官を二十一日に訪韓させることを決めました。調査のため派遣されている海上保安庁の測量船二隻は、引き続き鳥取県境港沖に待機しており、交渉継続中は調査を見合わせる方針です。
この問題は、海底の名称に関する国際会議(六月、ドイツ開催)で韓国政府が韓国名表記の提案をする動きに対し、日本側が対案の提出を念頭に必要なデータを収集することを目的に海洋調査を計画したことから起こったもの。
安倍晋三官房長官は同日午前の記者会見で「両国の非公式な接触の行方を見守っている。両国にとっては円満な解決が望ましい」と表明しました。
麻生太郎外相は参院外交防衛委員会で、韓国側が実効支配している竹島の周辺海域に警備艇二十隻を配備し、海保測量船の拿捕(だほ)も辞さないとしていることについて「国際法上認められない」とのべました。その一方で「不測の事態をなるべく避けたい」と強調し、日韓の次官・大使レベルなどで折衝が行われていることを明らかにしました。
また、韓国の潘基文外交通商相は同日午前、大島正太郎駐韓大使を呼び、海洋調査計画の撤回を重ねて要求。同時に「外交的に解決しなければならない」との考えを示しました。潘氏はこの後、記者団に対し、六月の国際会議で韓国名表記を提案するとの方針について「地名問題は適当な時期に推進する」と述べ、日本側が調査計画を撤回すれば、見送る可能性を示唆しました。日本側はこれまでの折衝で韓国側が提案を見送れば、調査を中止するとの打開案を示しています。
排他的経済水域(EEZ) 国連海洋法条約に基づき、沿岸国が海中、海底の天然資源について主権的権利を行使できる海域。海岸線から200カイリ(約370キロ)までの範囲で設定されますが、日本海や東シナ海では、日韓、日中間の主張する範囲が重なり、境界は画定していません。