2006年4月27日(木)「しんぶん赤旗」
「行革」法案ただす
保育士減は子どもに犠牲
配置基準以下の保育園 事故相次ぐ
参院委で吉川議員
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日本共産党の吉川春子議員は二十六日、「行政改革」関連法案を審議する参院行革特別委員会で、国が定める配置基準を引き下げて地方公務員を削減しようとしている問題をとりあげました。国が配置基準を定めている分野は、住民の安全・暮らしに深くかかわっています。(表参照)
保育所の保育士、老人福祉施設の従業員、児童福祉施設の看護師などの配置基準の引き下げは、そのまま民間事業所のサービスの質を落とすことにつながります。
吉川氏は具体的に保育士の分野をとりあげました。
保育士の国の配置基準はゼロ歳児三人に一人、三歳未満児六人に一人、三歳児二十人に一人、四歳児以上は三十人に一人です。実際にはこの基準での保育園運営は困難で、現実の保育士の数はこの基準の一・七―一・八倍です。「それでも子どもたちを十分にみてあげられない」(吉川氏)のが実態です。
国の最低基準以下で運営するとどうなるのか。吉川氏は具体例として無認可保育施設の株式会社「ちびっこ園」が二十二件の乳幼児死亡事故(一九七九―二〇〇一年)を引き起こしたことを指摘しました。同園は基準を無視し、七人の保育士で六十三人の乳幼児を二十四時間体制で預かり、一つの保育ベッドに乳児二人を寝かせたりなどしていました。
吉川氏は「政府がやろうとしている基準見直しは、保育所を『ちびっこ園』の方向に持っていくことになる」と批判。配置基準引き下げでなく、引き上げを求めました。
小泉純一郎首相は「こういう事故が起きないように対応しなければいけない。厚生労働省でも十分な気配りが必要だ」と答えました。
■国が配置基準等を定めている事例
保育所の保育士 乳児数に応じた配置基準
老人福祉施設の従業員 施設ごとの配置基準
児童福祉施設の看護師 乳児数に応じた配置基準
小・中学校教職員 都道府県ごとの標準数
警察官 都道府県ごとの基準数
消防職員 配置指針
保健所の医師 保健所ごとの配置基準
福祉事務所の現業職員 事務所ごとの標準数
行政改革推進事務局資料から作成