2006年4月28日(金)「しんぶん赤旗」
米軍再編・教育基本法改悪について
CS放送 志位委員長語る
日本共産党の志位和夫委員長は、二十六日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」で、在日米軍再編問題や後半国会の課題について質問に答えました。聞き手は、朝日新聞の坪井ゆづる論説委員。
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こんなに筋が通らない支出はない
――米軍の(グアム)移転経費の日本負担が話題になっています。
志位 (在日米軍再編計画の実施に必要な日本側の経費は)二百六十億ドル、約三兆円、その中の七千億円がグアムへの移転費用に使われるというのですが、まず額が法外です。だいたいグアムは米領。そんなところの施設をつくるために日本国民の税金を使うのは、絶対に筋が通りません。その他の支出も日本国民を危険にさらす在日米軍基地強化のための支出であり、許しがたい。
いったい何のためのカネなのかが問題です。政府は「沖縄から部隊の司令部を移すから負担軽減になる」といいますが、県民が一番被害を受けている海兵隊の実戦部隊は丸々残るわけです。
アメリカは司令部のグアム移転に二つの位置づけを与えています。
一つは、グアムを海兵隊、海軍、空軍のハブ(拠点)基地として強化する構想です。(移転費)総額約百億ドルの中には海兵隊の司令部移設だけでなく、海軍と空軍の基地建設の費用も入っているんですね。
もう一つは、グアム、沖縄、ハワイを「トライアングル・ハブ」とし、海兵隊の機動的な運用ができるようにすることです。ハワイを中心として、前線に沖縄とグアムを置き、この間を自由に司令部の機能を移動させるし部隊も移動させる。海兵隊と空軍と海軍と一体化した機能も強化する。これは「日本の安全のため」ではない。ましてや「沖縄県民の負担軽減のため」でもない。米軍の“殴り込み”態勢の強化のためのお金なのです。
沖縄市長選と山口県岩国市長選で「米軍再編ノー」と掲げた候補が勝ちました。岩国では米軍の艦載機移転の是非を問う住民投票の勝利に続いて、二度民意が下ったわけです。そういう民意を無視して押しつけることは許されないということを、いよいよ強くいっていきたいと思います。
一番の魂が壊される
――教育基本法の改正について共産党は。
志位 重大な問題は、教育基本法の一番の魂である第一〇条を空洞化し、破壊するところにあります。一〇条は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」とのべています。教育の内容は、その時々の国家権力の指図に従い、その支配のもとにおかれることがあってはならない、直接国民に責任を負うべきだ、と。
しかし(改悪案は)「直接に責任を負つて」が削られ、代わりに法律に従ってやれという趣旨の文言に変えられている。そうなると、教育内容にまで政府が自由勝手に土足で踏み入ってくることになります。
「国を愛する態度」というのが問題になっています。私たちは、市民道徳を教育の中でしっかり位置づけることは必要だと一貫していってきました。他国を蔑視(べっし)したりするのではない、本当の意味での愛国心を培うことが大事だということも提起しています。しかしそれは教育基本法を変えなければできないことではなく、現行憲法と教育基本法から当然導き出される内容だということもずっといってきました。
いまあえて「国を愛する態度」ということを書き込むというのは、よこしまな狙いがある。つまり、憲法を変えて海外で戦争できる国づくりをやる。それと結びつけた人づくりというところに狙いがあります。改悪案が国会に出てきたら、徹底審議のうえ、廃案を目指してがんばりたい。
――そのほか、後半国会で注目は。
現行の法体系崩す共謀罪
志位 医療大改悪、「行革」の名による住民サービス切り捨て、これらは非常に重大な法案として廃案のために力をつくします。憲法改定のための国民投票法案も、これは出てくる危険がありますから、要警戒です。
共謀罪の動きも出ています。これは、現行の法律体系をまったく崩し、行為に移らなくても罰することができる。話し合っただけで、相談しただけで、つまり行為に移さなくても処罰ができるということになります。今の刑法の体系を根底から変えてしまうことになるわけで、非常に危険な事態に陥り、国民のまともな日常生活まで権力の監視のもとにおかれる危険があります。どんなことがあっても許すわけにはいかないと考えています。