2006年4月30日(日)「しんぶん赤旗」

耐震偽装防止に何が必要か

建築基準法改正案

衆院本会議 穀田議員の質問(要旨)


 二十八日の衆院本会議でおこなわれた建築基準法改正案に対する日本共産党の穀田恵二議員の質問(要旨)は次の通りです。

 一九九八年に、規制緩和政策によって建築基準法を改悪し、建築確認・検査を民間まかせにし、チェック体制も整えないままコスト最優先の「経済設計」を可能にするなど、建築行政を「安全よりも効率優先」に変質させました。このことに対する真摯(しんし)な反省がなければ、再発防止はもちろん、建築行政への国民の信頼回復はできません。

 わが党は、九八年の建築基準法改悪に反対しました。今回の建築基準法等改正案の審議にあたって、再発防止に何が必要か、「提案」を発表してきました。この提案も示しながら質問します。

 第一に、建築確認制度・検査機関の問題です。建築物の安全性等の法令適合を審査することが目的である建築確認・検査は、本来、公の責任で行うべきものであって、営利目的の競争とは相いれないものです。従って、民間検査機関は非営利の法人に限るものとすべきです。地方自治体がすべて責任をもつことを明確にする必要があります。

 地方自治体の検査体制の弱体化が深刻になっています。地方自治体の建築担当職員の増員をはじめ、必要な研修・教育体制の整備など国の責任でおこなうべきです。

 第二に、建築基準法の耐震基準についてです。現行の耐震基準は、最低限の基準であり不十分です。多くの自治体が現行基準を一・二五倍に引き上げて、行政指導している現状もふまえ、耐震基準そのものを引き上げるべきです。

 第三に建築士制度です。建築士の違法行為に対する罰則強化は当然です。同時に、建築士が、建築物の安全性を確保するための設計・施工監理など、本来の社会的責務を果たせるような条件をつくる必要があります。建設業者や売主などとの従属的関係の是正、専門分野別の建築士制度の導入、工事監理業務の適正化などを早急に検討すべきです。

 第四に、住宅購入者など消費者保護の問題です。耐震強度をはじめとした建築物の安全性に関する情報、瑕疵(かし)担保責任の履行が可能かどうかなど供給サイドの信頼性にかかわる情報の開示を徹底することが必要です。また、今回の事件では、売主に賠償能力がないため、「瑕疵担保責任」が履行されないなど、深刻な事態が起きています。こうした事態を改善するため、売主や設計、施工会社などに瑕疵担保責任保険への加入を義務付けることなど瑕疵補償制度の改善・拡充をはかることは喫緊の課題です。

 第五に、「コスト削減競争」です。今回の事件の背景に、安全をないがしろにしたコスト削減競争があったことは明白です。政府が推しすすめてきたのは、アメリカと日本の財界の圧力に応えて、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」(九六年)など住宅分野の規制緩和でした。これを反省し、本来の、国民の安全を守るため、ダンピングを含む過当なコスト削減競争にもメスを入れるべきだと考えます。

 最後に、偽装マンションを購入した被害者の救済問題です。解決にあたって最大のネックは二重ローン問題です。被害者住民が個人で銀行と交渉することは困難であることから、(1)住民の既往ローン債務軽減のために銀行等と交渉すること(2)販売会社など加害者に損害賠償責任をはたさせること(3)銀行や不動産関係業界などから基金等を募り、被害住民の債務返済に充てる―など、「国が解決に責任もつ」スキームに改め被害者の切実な声に答えるべきです。


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