2006年4月30日(日)「しんぶん赤旗」
撤兵の決断 今こそ
イラク帰還兵6人訴え
NYで集会 体験交え切々
【ニューヨーク=山崎伸治】六人のイラク帰還兵が二十八日、ニューヨーク市内の教会で、自らの体験を紹介し、イラクからの一刻も早い米軍の撤退を訴えました。涙をこらえ、時には声を搾り出すような訴えに、約百人の参加者から激励や拍手が続きました。
六人はいずれも、いま米国で反戦運動の先頭に立って活動している「反戦イラク退役軍人会」の人たちです。
二〇〇四年から〇五年にかけての十三カ月間、派兵されたジェフリー・ミラードさんは、戦争を終わらせるには「ブッシュ大統領が今すぐにでも大統領令を出せばよい。むずかしいことではない」と指摘しました。〇三年四月から十二月まで現地にいたドルー・カメロンさんは、「現地の言語や文化について訓練はまったくなく、装備も不十分だった」と派兵の実態を告発しました。
デモンド・マランズさんは、一緒に声を上げて訓練した同僚が、一年の派兵期間中に二十五人も死亡したと述べ、「もう彼らの声は聞けない」と声をつまらせました。女性海兵隊員だったアヌラダ・バグワティさんは帰還後、経済的窮状に苦しむパレスチナを訪問した経験を語り、「米国が海外でやってきたことは何だったのか」と批判しました。
良心的兵役拒否が認められ名誉除隊したマイケル・ブレイクさんは反戦を訴えるなかで出会った在米イラク人に「私はあなたの兄弟、いとこを殺したかもしれない」と謝罪し、許しを得たという体験を涙ながらに紹介。陸軍で十四年間を過ごしたというホゼ・バスケスさんは、帰還兵を待ち受けているのがPTSD(心的外傷後ストレス障害)や自殺だと指摘し、「私たちは決意をもって努力している」と反戦運動の重要性を強調しました。
集会参加者のなかからも、第二次世界大戦や朝鮮戦争の帰還兵、息子がイラクに従軍したという母親などが次々に発言。息子をイラク戦争で亡くしたシンディ・シーハンさんもかけつけ、帰還兵を激励しました。