2006年5月2日(火)「しんぶん赤旗」
イラク市民の犠牲 2万人
昨年12月選挙後
50万人が避難生活
【カイロ=松本眞志】イラクでは、正式首相候補の選出などの問題をめぐる政治空白の四カ月間で暴力事件が増大し、暴力を避けるために約五十万人が避難民化しているとされています。
汎アラブ紙アルハヤト四月三十日付は、昨年十二月の国民議会選挙後、爆弾テロや宗派間の暴力などが原因で一万九千五百四十八人が死亡し、一万五千四百六十人が負傷したと報じました。イラクの民間調査機関「暴力のないイラク・ネット」の報告書によるもの。
「自由の対価」と題するこの報告書は、二千三百五十五人の子ども、四千九百五十六人の女性が殺害され、二千七百三十八人の子ども、三千九百七十一人の女性が傷ついたとしています。死者、負傷者とも約四割が子どもと女性です。
同調査機関の責任者シェイク・ジャラル・ハサナウィ氏は、四カ月間で三千五百四十七件の事件が目撃され、このなかには、殺害、誘拐、宗派間の暴力、モスクなどを標的とした軍事攻撃、爆弾テロなどが含まれるとしています。
同機関の報告によると、死者、負傷者ともに一番多いのが首都バグダッドで、それぞれ九千九百三十四人と九千五人。死亡者の数では、ディヤラ州の二千百八十一人、アンバル州の千七百六十二人がこれに続きます。
こうした状況のなか、イラクのアディル・アブデルマハディ副大統領は二十八日、約十万家族、五十万のイラク人が、宗派間の暴力を避けるために避難民として生活していると発言。「難民はシーア派にもスンニ派にもいる。われわれはこの状況を受け入れることはできない」と語りました。