2006年5月4日(木)「しんぶん赤旗」

NHK番組

小池政策委員長の発言(詳報)


 日本共産党の小池晃政策委員長は、三日放映のNHK憲法記念日特集「小泉外交と“世界の中の日本”を問う」と題した討論番組に出演し、小泉外交の評価、自衛隊のイラク派兵、首相の靖国参拝問題について、各党政策責任者と討論しました。小池氏のほか、自民・中川秀直、民主・松本剛明、公明・井上義久、社民・阿部知子の各政策責任者が出席しました。


イラク派兵 誤った戦争に加担

 番組では五年間の小泉外交全体につづき自衛隊のイラク派兵問題が議題となり、司会者が二年余にわたりイラクに駐留する自衛隊の評価を出席者に問いました。

 与党側が「血ではなく汗を流してきた」(自民・中川氏)「復興で大きな成果」(公明・井上氏)などとのべたのにたいし、小池氏は「いろいろ言い訳しても憲法九条違反の海外派兵であることは間違いない」ときっぱりと指摘したうえで、自衛隊派兵問題の大前提であるイラク戦争そのものをただしました。

 小池氏は「戦争の最大の口実だった大量破壊兵器の存在がうそであり誤りだった。実態としてもテロを拡散し、内戦を拡大する結果になった」と強調。三十五カ国を対象にした英BBC放送の世論調査で六割がイラク戦争でテロの脅威が増大したと回答したこと、別の調査で、イラク派兵米兵の42%がその任務を「理解できない」とし、72%が「米軍はイラクから撤退すべきだ」とのべていることを紹介。「そもそもこの戦争自体が誤った戦争だったんだという前提をしっかり議論しなければならない」とのべ、外国軍の撤退こそ真の貢献だと主張しました。

 また、自衛隊の海外派兵を常時可能にする恒久法の成立をめざす動きも批判しました。

 海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使について、各党は「(改憲にあたって集団的自衛権は認めるべきか)そうだ」(中川氏)、「集団的自衛権はもし必要であれば、憲法を改正すべきだ。しかし、原則は自衛ということだ」(松本氏)などと発言。小池氏は、集団的自衛権が過去に実際に使われたのは米国によるベトナム戦争、旧ソ連によるチェコ、アフガン侵略などの侵略戦争だったと指摘したうえで、「アメリカが起こした戦争に日本が参加し、アメリカと一緒に海外で武力行使できるようにするのが集団的自衛権」とのべました。

 そして「日本はやはり憲法九条を持つ国だから、絶対に海外で武力行使をしないということを国是として、そのうえで対等なアメリカとの関係をつくっていけばいいわけだから、集団的自衛権の行使にはわれわれは反対だ」と主張しました。

靖国参拝 日本外交の足場崩す

 小泉首相の靖国神社参拝をめぐる問題に移り、中川氏は「中国の圧力を受けて屈服する問題ではなく、対話のなかで解決ができる」などと発言。松本氏は「(日本国民の)戦争認識についての誤解を招いている」とのべ、井上氏も「憲法上の疑義がある。中国、韓国に疑義を抱かせるのなら(参拝を)やるべきではない」とのべました。

 小池氏は、靖国参拝問題は「日本外交の根本問題だ」と指摘し、靖国神社の軍事博物館・遊就館について「あの侵略戦争が正しかったという宣伝のオンパレードだ」と批判しました。

 そのうえで、元首相補佐官の岡本行夫氏が「小泉首相の参拝を怒っているのは中国や韓国だけではない、我々アメリカ人も怒っていることを忘れないでくれ」といわれた体験を雑誌で書いていることを紹介。小池氏は「この問題は、一番の侵略の被害を受けた中国、韓国の問題でもあるが、あの侵略戦争が間違っていたという戦後世界の出発点を否定すれば、世界で生きていけなくなる性質の問題だ」と指摘しました。

 これに対して、中川氏は「国益をこの問題で相当傷つけているというのは言い過ぎだ」などと弁明。小池氏は「懸案事項がたくさんあるのに、首脳間で対話できないのは日本の国益にとって大きなマイナスだ」と指摘し、「侵略戦争と植民地支配をやったのは日本であり、靖国参拝を強行したのも小泉首相だ。仕掛けた側がやめることしか解決の方法はない」とのべました。

 また靖国神社に代わる追悼施設について、「無宗教の追悼施設をつくるのも一つの解決だ」(井上氏)という意見にたいして、中川氏は「個人的には分祀(ぶんし)論だ」とのべ、A級戦犯分祀を主張しました。

 小池氏は「侵略戦争と植民地支配の反省をしっかり掲げた無宗教の施設をつくることは検討に値する」と発言。「A級戦犯を分祀したからといって、侵略戦争正当化という靖国神社の性格が変わるわけではない」とのべました。

 日本外交の今後について、小池氏は「侵略戦争と植民地支配の正当化をきっぱりやめる。アメリカいいなり、軍事偏重のあり方をあらためる」ことを提起。「憲法九条を変えることは、日本外交のゆきづまりを決定的にする」と指摘し、日本外交のあり方からも九条改憲をすべきでないと強く主張しました。


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