2006年5月13日(土)「しんぶん赤旗」

社会保障関係費の「自然増」とは?


 〈問い〉 社会保障関係費の「自然増」はなぜ発生するのですか。政府はこの「自然増」の推移をどう予測しているのですか? 日本共産党はどのように考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本の社会保障の財源は、多くが国民や企業から集めた社会保険料でまかなわれ、一部を国と地方の税金で負担しています。

 このうちの国庫負担分が一般会計予算の「社会保障関係費」として計上されます。

 06年度予算ではそれが20・5兆円で、主な内訳は、年金の国庫負担金(6・7兆円)、医療保険・老人医療関係(6・3兆円)、介護保険関係(1・7兆円)、生活保護費(2兆円)などです。

 このうち、年金や医療、介護、は、いずれも国庫負担の割合が決まっていますから、高齢化によって年金受給者や介護サービスを受ける人が増えれば、国庫負担も当然増加します。(具体的にいうと、基礎年金の受給者は、毎年約100万人ずつ増え、受給額一人平均年60万円を掛けると6千億円、その3分の1が国庫負担なので毎年2千億円の国庫負担増となる。同様の計算で、介護保険関係で約1千200億円、医療関係で数千億円規模の「自然増」となる)

 厚生労働省が04年5月に発表した「社会保障の給付と負担の見通し」では、社会保障の「公費負担」は04年度の26兆円から、2025年度には64兆円に増えるとしています。この予測自体は、将来の経済成長率などをどう仮定するかによって違ってきますが、これまで政府が出してきた試算は、いずれも現実の推移よりも過大なものになっています。

 政府は、社会保障関係費の「自然増」が財政を圧迫する最大の要因であると描いて、「財政再建のためには社会保障を削らなくてはならない」とか「消費税を増税しなければならない」という方向に世論を誘導しようとしています。

 しかし、高齢化が進行すれば社会保障関係費が増えるのは、わかっていたことであり、それに見合った政策を進めてこなかった政府の方に問題があるのです。発達した資本主義国のほとんどが、「国の予算の中心は社会保障」です。アメリカの連邦予算の約6割、イギリスは約4割、ドイツは約5割が社会保障関係予算です。日本の06年度予算に占める社会保障関係費は26%です。もともときわめて貧しい日本の社会保障なのに、さらに高齢化を理由にその予算を削り、低所得者層に重い負担となる消費税率をアップするのでは格差社会が広がるばかりです。

 いまこそ予算の使い方にメスを入れ、大企業・大資産家優遇の税制を見直すことこそが求められています。(喜)

 〔2006・5・13(土)〕


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