2006年5月15日(月)「しんぶん赤旗」

石綿被害で国提訴へ

全国初の集団訴訟 原告を励ます集い

大阪・泉南


 「泉南地域の石綿被害と市民の会」と大阪じん肺アスベスト弁護団(芝原明夫団長、三十九人)は十四日、泉南市内で大阪地裁に提訴する泉南地域の石綿被害に関する国家賠償訴訟の原告を励ます集いを開きました。

 原告、弁護団、市民ら約百人が参加しました。

 原告は故人三人を含む八人。二十六日提訴の今回の後、二次、三次の原告団をつくる予定です。石綿被害で国相手の集団訴訟は全国で初めて。

 芝原弁護団長は冒頭、「今のままでは、被害の完全な救済はできない。国を相手にする裁判は苦労があるが、国家賠償によって救済は大きく前進する」とのべました。

 弁護団は、「国の一番大事な責務は、国民の命と健康を守ることだが、そのためにやるべきことをやっていたかが問われる。政府は戦前すでに、泉南地域の石綿による健康被害を調査し、危険性を知っていたはずなのに、まともに対策も規制もしてこなかった」と国の責任を指摘しました。

 原告団は、「私たちの健康のことを考えてくれなかった国に、憤りを一つひとつぶつけていきたい」「一日も早く解決してほしい」など、それぞれの思いを語りました。

 西淀川公害訴訟原告団の森脇君雄団長は、「勝つとは考えずに始めた裁判だったが、私たちを支援してくれる世論がどんどん大きくなって勝利できた。原告の声と努力が世論を起こす。私たちもいっしょにがんばります」と激励しました。

 集い終了後に会見した原告の岡田陽子さんは、「まだ埋もれている人や、これから症状が出てくる人が救済されるために、だれかが表に立たなくてはいけないと原告になる決意をしました。責任の重さを感じます」と語りました。


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