2006年5月18日(木)「しんぶん赤旗」

医療改悪 自公が強行採決

“法案審議は不十分”

国民・医療関係者が批判

衆院委


 「患者、国民に痛みを押しつける法案を、十分な審議なしで採決していいのか」――国民や多くの医療関係者から怒りの声が上がるなか、自民、公明両党は、高齢者の患者負担増などを盛り込んだ医療改悪法案を、十七日の衆院厚生労働委員会で強行採決しました。日本共産党の志位和夫委員長は記者団に問われ、これに厳しく抗議し「法案を委員会に差し戻して、審議を続けることを強く求めたい」とのべました。

志位委員長 厳しく抗議

 「十分な審議がなければ、国民にしわ寄せがくる」(十六日、唐沢祥人日本医師会会長の会見)など、広範な団体が審議を尽くすよう求めるなか、「審議も機が熟した。法案の処理を進めるべき」(公明・福島豊氏)として、強引に審議を打ち切ったものです。

 同法案は、七十―七十四歳の高齢者の患者負担の一割から二割への引き上げ、長期入院患者の居住費、食費の自己負担、療養病床の大幅削減など、患者に痛みを押しつける内容が目白押しです。保険がきく診療と保険外の診療を組み合わせる「混合診療」を拡大し、医療保険制度の土台を崩すものとなっています。

 この日午前から小泉純一郎首相が出席して審議が始まった委員会室は、傍聴者であふれんばかり。小泉首相は、お金がなくて保険料が払えない人から国民健康保険証をとりあげる問題など重要な質問にもまともに答えず、はぐらかす答弁に終始。与党議員は「時間だ、時間だ」と審議打ち切りを迫り、国民の痛みなど“どこ吹く風”の様子です。

 質疑のなかで、日本共産党の高橋千鶴子議員は「本委員会での議論が十分尽くされたとは到底言えない」として、徹底審議を要求するとともに、法案は「国民皆保険を堅持するといっておきながら、これに逆行するものだ」として、撤回を要求。強行採決後、国会前で開かれた集会であいさつし、「こんな無責任な人たち(政府・与党)に国民の医療は任せられない」と批判しました。


痛み押し付け 法案のポイント

●国民の負担増

 ▽現役並み所得(夫婦2人世帯で年収520万円以上)の70歳以上の高齢者

  2割 → 3割  (今年10月〜)

 ▽70歳〜74歳の高齢者

  1割 → 2割  (08年4月〜)

 ▽70歳以上の長期入院の高齢者の食費、居住費の負担増

  月2万8000円増  (今年10月〜)

 ▽高額療養費の自己負担限度額引き上げ

●高齢者医療制度の新設(08年4月〜)

 ▽75歳以上の全高齢者から保険料徴収(年金からの天引きなど)

 ▽保険料を支払えない75歳以上の人からも保険証を取り上げる措置が可能に

 ▽国保加入の65歳以上の高齢者の保険料を年金から天引き

●保険のきかない医療を拡大する「混合診療」の実質的な解禁

●療養病床の大削減

 医療型療養病床(約25万床)を約15万床に大削減。介護型療養病床(約13万床)を全廃(2012年3月までに)


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