2006年5月19日(金)「しんぶん赤旗」
医療改悪法案
高橋議員の反対討論 (大要)
貧富の格差が命の格差に
18日の衆院本会議で、日本共産党の高橋千鶴子議員がおこなった医療改悪法案に対する反対討論(大要)は次のとおりです。
国民の命と健康にかかわるきわめて重大な法案であるにもかかわらず、昨日の厚生労働委員会で、自民、公明の与党が審議を打ち切り、採決を強行する暴挙をおこなったことに強く抗議します。
小泉「構造改革」のもと、国民健康保険の保険料を払えない世帯が増え、保険証の取り上げが三十二万件に達するなど国民の命と健康が重大な危機に直面しています。
本法案は、医療給付費の削減を至上命題として、高齢者を中心に患者負担を拡大し、都道府県に入院日数の短縮目標を義務付け、高齢者医療制度を創設して新たな負担増を打ち出すものです。しかも、産科や小児救急をはじめとする地域医療の拡充、医師の確保や看護師の充足など、国民の切実な声である医療供給体制の充実とはほど遠い改悪となっています。
反対の第一の理由は、高齢者や重症患者への情け容赦ない負担増と医療の切り捨てが強行されることです。
今年十月から、高齢者(現役並み所得)の窓口負担は二割から三割になり、療養病床の食費・居住費も保険からはずされました。新設される「高齢者医療制度」では年間六万円の保険料を年金から「天引き」し、滞納すれば保険証を取り上げます。この負担増が医療を必要とする患者の受診を抑制し、疾病を重症化させることは明らかです。
反対の第二の理由は、療養病床を現在の三十八万床から六年間で二十三万床も削減することです。この病床に入院する高齢者の多くは、もともと「受け入れ条件がないために退院が不可能な人たち」です。政府は、入院患者の追い出しにはならない、と弁解しますが、特養待機者が三十四万人を超え、療養病床にすら入れないなかで、多くの高齢者が施設から追い出されてしまいます。
しかも、受け皿を増やすために、老健施設の基準を緩和したサテライト施設を認め、医師や介護職員、調理室なども置かないことができます。これでは、入所者の安全も安心も保障されません。
反対の第三の理由は、保険のきかない医療を拡大し、安心してかかれる保険医療を揺るがす仕組みを導入したことです。
低い医療費は保険からはずすという「保険免責制度」は今回見送られましたが、「特定療養費」制度を改変し、高度先進医療だけでなく「必ずしも高度でない先進医療」にも「混合診療」を拡大します。高額な医療費を払えない人は、満足な治療も受けることができず、「貧富の格差がいのちの格差を広げる」ことになります。
本法案では、生活習慣病の健康診断や保健指導を義務づけますが、これもアウトソーシング(外部委託)を可能にしました。国民の命と健康を守る医療の分野にまで「営利優先・弱肉強食」を持ち込み、公的医療制度を土台から破壊・解体しようとする暴挙は許せません。
すべての国民は、貧富にかかわりなく、医療を受ける権利を持っており、国はその権利を保障する義務を負うべきです。日本の医療を立て直すことこそ、いま強く求められていることを指摘して、反対討論とします。