2006年5月22日(月)「しんぶん赤旗」

治安回復を最優先

イラク新首相が組閣会見


 【カイロ=松本眞志】イラクのマリキ首相は二十日、組閣後の記者会見で、治安回復、経済復興、占領軍からイラク軍への権限移譲に向けた活動など、当面の優先課題を明らかにしました。マリキ首相は、特に治安の問題が最優先課題だと強調、武装勢力や宗派間の対立の問題にどのようにして対処していくのかが新政権に問われていると語りました。


 マリキ首相は「われわれはイラク国民の統一を守る枠組みの範囲で活動することになる。閣僚たちはその能力を証明しなければ政府から排除されるだろう。(新政府は)国民の間での対話と和解の問題に集中して取り組む」と述べました。

 マリキ首相が当面の優先課題としてあげたのは三十四項目。(1)国民と対話し、自由で連邦制にもとづいた民主主義イラクのためにあらゆる勢力の政治参加を広げる(2)有効な方法でテロとたたかい、国際的な人権基準を尊重する(3)イラクの主権を保障しイラクの統一と独立を支持する。国連安保理決議一五四六の枠内で外国軍の問題に対処し、イラク軍を早急に強化して同軍への治安の権限と責任の移譲を早める。外国軍の任務を終了させ、イラク軍がその任務を引き継ぐために、行程表に沿った両軍の協力を保証する(4)専制主義、人種主義、宗派主義からイラク国民を守る(5)電力供給の回復を急ぐ―などです。

 バグダッド大学のアブド・アルジャバール・アフメッド教授(政治学)は、同日放送されたカタールの衛星テレビ・アルジャジーラのインタビューで、「もし組閣が二日遅れていたら、多くの政治危機に直面していただろう」と指摘。「新政府は国民の負担を軽減する努力を行い、すべての政治勢力は、意見の相違や争いを脇に置いて、米国の占領の傘の下ではない民主的で独立したイラクを建設することが求められる」と述べました。

 バグダッドで歯科医を務めているサハル・ハシムさん(33)は、本紙の電話インタビューに応じ、「新政府に望むことは第一に治安の回復、第二に水や電気などの住民サービスの提供です。バグダッドはとても暑くて生活するのが困難な状況です。これらの要求はイラク国民にとって緊急の課題です」と語ります。

 また、「首相はできるだけ早く正式の国防相と内務相を選び、占領軍撤退の日程も具体化してほしい」と訴えました。


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