2006年5月26日(金)「しんぶん赤旗」
国有地入手 大もうけ
跡地利用会議に不動産会社
大門議員 「官から民へ」の実態
国民の身近な公共サービスを削減する「行政改革推進」法案、「市場化テスト(官民競争入札制度)」法案など「行革」関連法案が二十五日、参院行政改革特別委員会で自民、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党の大門実紀史議員は「国民の安全や暮らし、中小企業の経営を支える公的部門を削減し国民サービスを切り捨てるものだ」と反対しました。
参院委 「行革」法案を可決
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「『官から民へ』というのは、裏を返せばただの大企業のもうけ話ではないか」―。採決に先立ち質問に立った大門氏は、国有地の売却の政策決定に、不動産開発会社が関与している実態を明らかにしました。
大門氏が示したのは政府の「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」に参加しているメンバー。六本木ヒルズなど都心に多数のビルを所有する森ビル関連の、森ビル・アカデミーヒルズ会長の伊藤滋氏(早稲田大学特命教授)を座長に、三井不動産や三菱地所の部長らが委員です。不動産開発会社の現場関係者が直接参加しています。これらの会社はこれまでも港区六本木、麻布など都内一等地をはじめ、国有地の払い下げをうけて開発をすすめています。(表参照)
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国有地がいかに一部の大企業、団体のもうけの場になっているか。大門氏は東京・千代田区大手町の合同庁舎跡地の開発をとりあげました。
この土地は二〇〇五年三月に国からいったん都市再生機構に入札なしの随意契約で売却(千三百億円)されたあと、八カ月後に関係会社でつくる「有限会社大手町開発」へ譲渡されました。都市再生機構は“トンネル”の役割を果たしました。
土地区画整理事業でこの跡地を日本経団連などの土地と交換し、経団連などを跡地に移転させる計画です。さらにこの事業は政府の第五次都市再生プロジェクトに指定され、容積率は700%から1590%へとアップし、等価交換した土地が倍以上のもうけを生み出すことになりました。
この企画立案をすすめてきたのが「大手町まちづくり株式会社」。同社の社長は日本経団連の事務総長、取締役が三菱地所社長です。
大門氏は「こんな生臭い利害関係者を国有地売却の方向を決める政府の会議の座長や委員にすえる。(立場を利用して特定企業の利益を図る)『利害の抵触』にあたるのではないか」と追及。小泉純一郎首相は「事実関係を承知していない。どの点が『利害の抵触』になるかわからない」とまともに答えることができませんでした。
座長 | 伊藤滋 早稲田大学特命教授、森ビル・アカデミーヒルズ会長、森記念財団会長 |
委員 | 三井不動産・不動産投資サービス本部長 三菱地所・ビル事業本部長 ほか4名 |
森ビル | 港区六本木1 | 1487u |
港区六本木6 | 1141u | |
港区麻布台1 | 930u | |
三井不動産 | 中野区中央1 | 4471u |
横浜市青葉区 | 8424u | |
小平市上水本町 | 3440u | |
三菱地所 | 港区西麻布3 | 3438u |
世田谷区上馬1 | 1049u | |
新宿区市谷 | 1438u | |
杉並区上荻4 | 1538u | |
名古屋市名東区 | 6150u |