2006年5月26日(金)「しんぶん赤旗」
靖国合祀
民族の人格権否定
東京地裁 韓国人遺族の請求棄却
靖国神社への合祀(ごうし)や旧日本軍への徴用をめぐり、第二次世界大戦中に動員された韓国人の元軍人・軍属と遺族ら計四百十四人が国などを相手に、合祀のため行った戦没者の通知撤回と総額約四十四億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(中西茂裁判長)は二十五日、いずれも請求を棄却しました。原告側は控訴する方針。
中西裁判長は、「戦没者通知は一般的な行政の調査、回答事務の範囲内。合祀は靖国神社の判断によって行われた」と認定。通知は原告に何らかの強制や具体的な不利益をもたらしていないとして、「原告らの民族的、宗教的人格権や思想良心の自由を侵害するとはいえない」と述べました。
原告側は、靖国神社の合祀について「(親族は)日本の植民地政策下の強制動員で命まで奪われたのに、侵略戦争の協力者として祭られ、被害を受けた民族の人格権を侵害した」と主張。このほか、戦地動員に対する賠償責任などを求めていました。