2006年5月29日(月)「しんぶん赤旗」
5・27国民大行動
志位委員長のあいさつ(大要)
日本共産党の志位和夫委員長は、二十七日に東京・代々木公園で開かれた「5・27国民大行動」であいさつしました。大要は次のとおりです。
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全国からお集まりのみなさん、こんにちは。(「こんにちは」の声、拍手)
日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつをおくります。
国会会期延長を許さず、四つの悪法をそろって廃案に
この集会は、国会会期末にむけた、重大法案をめぐる緊迫した攻防のなかで開かれました。参議院を舞台にたたかわれている医療改悪の法案、憲法九条改定の手続きをきめる国民投票法案、行為ではなく思想を罰する憲法違反の共謀罪法案、教育基本法を全面的につくりかえる改悪法案――この四つの悪法を食い止めるために力をつくそうではありませんか(拍手)。悪法強行のための国会会期延長を許さず、四つの悪法をそろって廃案に追い込もうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
暮らし―格差社会ただし、財界・大企業に社会的責任をはたさせよう
暮らしの問題では、格差社会と貧困の広がりが、一大社会問題となっています。これはけっして自然現象ではありません。小泉「改革」の名ですすめられた弱肉強食の政治こそ、今日の事態をもたらした責任があります。
格差社会と貧困の根源には、人間らしい労働の破壊があります。パート、派遣など非正規雇用労働者が急増し、差別と無法のなかで使い捨ての労働をしいられています。正規労働者は、成果主義賃金のおしつけで、競争があおられ、賃下げ、長時間過密労働、過労死がしいられ、心の病が急増しています。
みなさん。財界の大リストラとそれを応援した政治の責任が、いま厳しく問われているのではないでしょうか(拍手)。職場から無法を一掃し、均等待遇のルールをもとめ、人間らしい労働をとりもどすために、力をあわせようではありませんか。(拍手)
社会保障の破壊も重大であります。格差が拡大したら本来命綱になるのが社会保障ではないでしょうか。それなのに、年金、介護につづき、医療大改悪の法案が、強行されようとしています。お年寄りに無慈悲な負担増を強要し、保険のきかない医療を大幅に拡大し、所得の格差を命の格差にする、医療大改悪の法案を廃案に追い込むために、私たちはみなさんと最後まで力をあわせて奮闘する決意を申し上げるものです。(拍手)
国民生活のあらゆる分野に犠牲をおしつけながら、財界・大企業は空前のもうけを誇っています。トヨタ自動車の利益は三年連続で一兆円を突破しました。大手銀行の利益は三兆円とバブルの時代をはるかにこえています。銀行のために三十兆円の公的資金を使い、十兆円はかえってこない。こんなにもうけているんだったら、税金をかえせと私たちはいいたいのであります。(大きな拍手、歓声)
みなさん。ならば、大企業にもうけ相応の社会的負担と責任をはたさせようではありませんか。財界・大企業は、人間らしい雇用のルールをまもれ、社会保障への責任をはたせ(「そうだ」の声)、もうけ相応の税金を払え(「そうだ」の声)――このことを声をそろえて要求しようではありませんか。(大きな拍手)
平和―異常なアメリカいいなり政治の矛盾が二つの熱い焦点で噴き出している
平和の問題では、異常なアメリカいいなり政治の矛盾が、「米軍再編」と憲法改定という二つの熱い焦点で噴き出しています。
五月一日、日米両国政府は、「米軍再編」の「最終合意」の文書をかわしましたが、私は、何というひどい文書かと強い怒りをもって読みました。沖縄、神奈川、岩国など、全国にたいする基地強化のおしつけ計画について、「徹底して実施していくことを確約した」――一つ残らず強行することを宣言したのです。
そして基地強化のために三兆円もの負担を日本国民にしいる計画がもちあがっています。三兆円のすべてが日本国民を苦しめる基地強化のための出費です。そのうち七千億円は、米国領グアムの基地強化のための出費です。一円たりとも出すいわれはないということを私は訴えたいのであります。(「そうでーす」の声、拍手)
「米軍再編」の動きは、憲法改悪に直結しています。米軍と自衛隊がともに訓練し、ともに戦争にのりだす態勢――日米の軍事一体化への動きが急ピッチですすめられています。この動きの邪魔になるのが憲法九条だ、九条を変えろ――この要求がアメリカから繰り返しよせられています。九条を、私たちの宝を、アメリカに売り渡す、売国の政治は断じて許すわけにはいきません。(「そうだ」の声、拍手)
みなさん、基地強化の動きに反対し、憲法改悪のたくらみを許さない国民的運動を、さらに大きく広げようではありませんか。アメリカいいなりの根源にある日米安保条約をなくし、ほんとうの独立国といえる日本を築くために力をあわせようではありませんか。(拍手)
教育基本法改悪―狙いは「海外で戦争する国」「弱肉強食の経済社会」に従う人づくり
最後に教育基本法改定の問題です。私は、衆院特別委員会で二度にわたり質疑に立ちましたが、憲法に反する二つの大問題が浮き彫りになりました。
一つは、政府案が、「愛国心」など、さまざまな「徳目」を法律で強制しようとしていることです。これは、憲法一九条が保障する思想・信条・内心の自由を乱暴に侵害するものであります。私は、国会で、福岡市で使われていた「通信表」に「愛国心」の評価項目があることを指摘しました。首相は答弁につまって「愛国心を評価するのは難しい」といいました。それならば法律で「愛国心」を強制するのは、やめるべきではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
私たちは市民道徳を培う教育を大切だと考えています。それは自由で自主的な教育の営みのなかで培われるべきものです。道徳というのは、国家が強制するものではありません。わけても「愛」というのは人間の最も自由な心の動きであって、国家や法律で「愛」を強制することは、絶対に間違っていることを私は訴えたいのであります。(拍手)
いま一つは、政府案が、教育基本法一〇条――「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」を改変し、国が自由勝手に教育に介入できるようにしていることです。
教育の自由を尊重することは、憲法の要請であり、国家権力が教育内容・方法に無制限に介入することは、憲法に背反するものです。
子どもたちを競争においたて、序列をつけ、ふるいわけをする――子どもたちを「勝ち組」「負け組」にふりわける、こういうやり方を、私たちは許すわけにはいきません。競争と管理の教育こそあらためるべきだということを声を大にして訴えたいのであります。(拍手)
この動きの狙いは、「海外で戦争をする国」「弱肉強食の経済社会」――この二つの国策に従う人間をつくることにあります。みなさん、教育基本法改悪法案を廃案に追い込むための国民的たたかいを急速に広げようではありませんか。(拍手)
歴史をつくるのは人間のたたかいです。今日のこの大集会が、アメリカいいなり・財界主役の政治を大本から変え、国民中心の新しい政治の流れをつくる、新たな出発点になることを願い、ともにたたかいぬく決意をこめてあいさつとします。(大きな拍手)