2006年5月29日(月)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎
“人生変えられた”
判決前に集い 被害者訴え
血液製剤のフィブリノゲン製剤を投与されてC型肝炎に感染した薬害問題について考える集い(主催・薬害肝炎訴訟原告団・弁護団・支援する会)が二十八日、東京都内で開かれました。六月二十一日に大阪地裁、八月三十日に福岡地裁の判決が予定されています。
肝炎感染・患者にたいする偏見・差別が根強くある中で実名を公表して裁判勝利の訴えをした出田妙子さんは「一日も早く病気から解放されたい。製薬会社の利益のために感染させられ命が軽んじられました。悔しい」と話しました。
出田さんは九州訴訟の原告で一九八七年七月、双子の第二子出産のときに、フィブリノゲン製剤を投与されてC型肝炎に感染し、慢性肝炎になり、週数回の通院治療を余儀なくされました。出産後に急性肝炎になり、五カ月入院したものの、フィブリノゲン製剤投与については知らされていませんでした。
「出産すぐに子どもと切り離され、母乳も与えられず、抱くことも許されませんでした。好きだったスポーツも今はできません。フルタイムで働く希望も奪われました。二十九歳のときに感染して、私の人生の全部を描いたものと違ったものに変えられました。一人ひとりの命が優先されるような判決となるように望みます」と訴えました。
裁判は仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の五地裁に約百人の原告が、国と製薬会社に損害賠償を求めているもの。感染原因になった製剤は、米国では七七年に全面使用禁止になりました。しかし、日本は、その後も使用を続けたために被害を広げました。八〇年以降でも約二十九万人に投与され、そのうち一万人以上がC型肝炎を発症したといわれています。
集いは、(1)再発防止策を徹底すること(2)治療体制の整備(3)医療費、生活支援などの実施(4)検査体制の整備(5)差別・偏見の一掃―を求めたアピールを採択しました。