2006年6月5日(月)「しんぶん赤旗」
社保庁の年金不正免除問題
与党の責任逃れ批判
NHK討論 小池政策委員長
日本共産党の小池晃政策委員長は四日、NHK番組「日曜討論」に出演し、国民年金保険料の不正免除問題など年金制度のあり方について各党と討論しました。
●不正免除
首相任命責任も
全国三百十二の社会保険事務所のうち約百の事務所で、納付率を上げるため加入者の意思確認をせず保険料の免除手続きを取っていた問題で、自民党の大村秀章厚労部会長は「現場が勝手にやった」とのべました。
小池氏は、不正な免除は許されないとした上で、「社会保険庁ぐるみの組織的なものであることは明らかだ」と強調。さらに「政府・与党は(〇四年の)年金改悪法で八割という納付率目標を設定し、保険料を上げた。払えない保険料にしながら目標を押しつけたからこういう事態が生まれている面がある。現場だけが悪いといういい方で与党の政治家が責任逃れをしようとするのは、トカゲのしっぽ切りのやり方だ」と批判しました。
さらに小池氏は、損保ジャパン副社長だった村瀬清司氏を社保庁長官に起用したことについて、同社の業務停止命令が発覚したとき社長が“目標達成を促す営業を推進した結果、担当者にプレッシャーがかかり不適切行為の一因となった”とのべていることを紹介。「社保庁にも同じことがいえる。無謀な目標を課して保険料を上げ『手足を縛って泳げ』というようなことをやった長官の責任は明白だ。損保ジャパンでは社長は辞任しており、村瀬長官も当然辞任すべきだ。小泉首相の任命責任も重大だ」とのべ、年金改悪を強行した政府・与党の責任を追及しました。
●ねんきん事業機構
看板変わるだけ
与党が今国会に提出している「ねんきん事業機構」法案について、小池氏は「看板が変わるだけで何も変わらない」と指摘しました。
小池氏は、与党が年金「改革」と称して、法案で年金保険料を事務費に流用することを恒久措置にしたり、年金保険料滞納のペナルティーに国民健康保険の保険証を取り上げるなど強制的な取り立てに走っているとして、「でたらめなやり方で保険料取り立てのしくみを盛り込むのはまったく改革の名に値しない」と批判しました。
●出生率低下
制度の土台崩壊
年金制度構築の土台の一つである合計特殊出生率が史上最低の一・二五になったことで公明党の福島豊社会保障制度調査会長は「トータルで考えれば影響はそれほど大きくない」とのべました。
小池氏は「(年金改悪の前提は)出生率が一・三一のはずだった。昨年も目標を下回った時に与党は『最大瞬間風速』と盛んにいったが、嵐はずっと続いている」と反論。「年金制度の土台が崩れている。月収十万円そこそこのフリーターに月一万三千五百八十円の保険料が払えるわけがない。免除されたとしても将来二万二千円しか年金が出ない。改悪年金法の根本的な見直しが必要だ」と提起しました。