2006年6月9日(金)「しんぶん赤旗」
ザルカウィ容疑者死亡
イラク首相発表 米軍機が隠れ家攻撃
【カイロ=松本眞志】イラクのマリキ首相は八日、国際テロ組織アルカイダの指導者の一人アブムサブ・ザルカウィ容疑者が七日、イラク北部のバクバ近郊の隠れ家で米軍の空爆により殺害されたと発表しました。アルカイダ系グループも同日、ウェブサイトで同容疑者の死亡を認めました。
ザルカウィ容疑者は、ウサマ・ビンラディン容疑者とならぶアルカイダの実力者で、イラクを活動の拠点とする「メソポタミア・アルカイダ」の責任者でした。二〇〇三年のモロッコのカサブランカやトルコのイスタンブールなどでの爆弾テロ、〇五年十一月のヨルダンの首都アンマンにあるホテル爆破テロに関与してきたとされ、米国は二千五百万ドル(約三十億円)の賞金をかけていました。
しかし、イラクでの活動の実態は不明な点も少なくありません。米紙ワシントン・ポストは今年四月、イラク駐留米軍がザルカウィ容疑者の役割を誇張していると報じました。
同容疑者は、〇三年のイラク戦争開始前にはイラクにいました。ブッシュ米政権はそれを、イラク・フセイン政権とアルカイダとの関係を示す材料として利用しました。
ザルカウィ容疑者 一九六六年、ヨルダンの首都アンマン近郊生まれ。八〇年代後半、アフガニスタンで同国を侵略していたソ連軍との戦闘に参加。国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディンからイラクでの「副官」に任命されたといわれます。ザルカウィのグループは、バグダッドの国連事務所爆破(〇三年八月)やイラクを旅行中の香田証生さん殺害(〇四年十月)など多くのテロ事件に関与したとされています。