2006年6月12日(月)「しんぶん赤旗」
介護難民 生まないで
療養病床廃止・削減に反対
保団連が決起集会
患者・病院関係者ら発言
お年寄りが長期入院する療養病床三十八万床のうち二十三万床をなくす医療改悪法案の国会審議がヤマ場を迎えるなか、療養病床廃止・削減反対緊急決起集会が十一日、東京・墨田区で開かれ全国から二百人が参加しました。病院関係者や患者、家族らが次々に発言。「医療・介護難民」をつくる政府の計画を批判しました。全国保険医団体連合会の主催、全日本民主医療機関連合会が協賛したもの。同法案の廃案、七月実施の同病床の診療報酬改定の凍結を求める決議をあげました。
基調提案した保団連病院・有床診対策部会の斉藤隆義部長は、療養病床廃止・削減後の患者の「受け皿」について、介護保険施設は満床、有料老人ホームは自己負担が高く、在宅も家族の介護力が低下していると指摘。「行き場のない患者が大量に生まれる可能性がある」と語りました。
改悪を先取りした七月の診療報酬改定で、同病床の「医療の必要性が低い」とされる約五割の患者の診療報酬が大幅に削減されれば、一般病棟も含め病院経営は危機に陥るとのべました。
全日本民医連の肥田会長は、賛同を求めて全国の病院に送付した療養病床削減反対の要望書に寄せられた「療養難民が多く発生する」などの返信メッセージを紹介。深刻化する医師・看護師不足問題にも触れながら「地域医療を守る全国民的なたたかいを」とよびかけました。
療養病床を持つ東京・八王子市の上川病院の吉岡充理事長は「二十四時間体制で医者がおり、患者の急変に対応できる」同病床の役割を強調。議論もないまま突然、廃止・削減を打ち出した政府を批判しました。
政府が同方針を打ち出した後、療養病床の病院が閉院になった北海道根室市の根室隣保院付属病院の元職員・横山松子さん(根室医療福祉労働組合書記長)は、労組が実施した元入院患者の追跡調査を報告。自宅に戻った父親のため五十七歳の息子が退職し、介護しているなどの実態が明らかにされました。
参加者が発言。石川県かほく市の二ツ屋病院副院長で、日本療養病床協会会員の松田昌夫氏も「地域医療を考える懇談会や県民集会を開き、問題点を広く国民に知らせてほしい」と語りました。
難病団体の代表らが来賓あいさつし、療養病床削減に反対しました。