2006年6月14日(水)「しんぶん赤旗」
医療費伸び率水増し
小池議員 法案の前提崩れた
日本共産党の小池晃議員は十三日の参院厚生労働委員会で、政府が医療改悪法案の根拠にしている医療費の伸びについて、恣意(しい)的にゆがめたデータを使ったものだと追及しました。
政府は現在三十一・五兆円の国民医療費が二〇二五年には六十五兆円にふくれあがるとしています。その推計は一九九五年から九九年の伸び率を使っています。
これを正当化するために政府が出したのが「一人あたりの医療費の伸び率」です。
この「伸び率」は、厚生労働省が制度改定や高齢化の影響などを踏まえて補正をしていますが、小池氏はこの補正の仕方が恣意的だと指摘しました。
例えば、九七年度の医療改悪(健保本人負担二割など)は九月から実施されていますが、厚労省は四月から改定されたとして計算しています。小池氏は「そのせいで伸び率が0・3%水増しされている」と批判。また、制度改定がなかった九八年度にも制度改定の影響があったとして計算しているなど説明のつかない点が多くあります。
川崎二郎厚労相は「だいたいこのくらいの見通しになるだろうと補正している」と答えました。
小池氏は「わけがわからない。恣意的な医療費推計を制度改定の根拠にした法案の前提が崩れている。それなのに、国民に負担増を押し付けるのは許されない」と批判しました。
療養病床追い出し
「無責任すぎる」
小池氏は、七月から実施予定の診療報酬の改定で、政府が「医療の必要性が低い」という理由で、療養病床に入院している患者の半数を追い出す問題を追及しました。
政府は療養病床を老人保健施設などに転換することを促すとしていますが、介護保険制度の“参酌標準”によって、介護施設のベッド数は上限が決められており、転換は困難です。
小池氏は「追い出す仕組みだけつくりながら、受け皿はつくらない。診療報酬改定は見送るべきだ」と指摘。介護保険の“参酌標準”を見直すべきだと迫りました。
川崎二郎厚労相は「一つ一つの事例を見ながら対応していきたい」と答弁。小池氏は「事例ができて、追い出されてからでは遅い。一人ひとりにとっては人生の問題であり、命の問題だ。あまりにも無責任すぎる。こういうやり方で法案を通すのは許されない」と改悪法案撤回を求めました。