2006年6月21日(水)「しんぶん赤旗」
福井日銀総裁 利益1473万円
村上ファンド投資 利回り6割の年も
日本銀行の福井俊彦総裁は二十日、「村上ファンド」に一千万円を拠出していた問題で、国会に関係資料を提出しました。
資料によると二〇〇五年末現在の運用残高は、二千二百三十一万円になり、千二百三十一万円の運用益をあげていました。これに、〇一年二月に福井氏にいったん支払われた分配金二百四十二万円を加えると、利益総額は千四百七十三万円にのぼります。
利益を元本に繰り入れ再投資する方法のため、残高が急増しています。
福井総裁は、国会の答弁で運用を「たいした額ではない」と説明していましたが、総裁就任(〇三年)後の運用残高の増加額は〇四年に百八十七万円、〇五年に八百六十五万円となっており、〇五年の運用利回りは六割に達します。
一方、株式は、商船三井(一万株)、新日本製鉄(一万株)、キッコーマン(五千株)、富士通(五千株)、三井不動産(五千株)の五銘柄を現在も保有。同日の終値で換算すると、保有株の時価総額は三千四百二万五千円にのぼります。
福井総裁は同日の記者会見で、「日銀への信頼を損ねた」としながらも、現職にとどまる考えを重ねて示しました。
日銀総裁の利益
庶民感情に照らし許しがたい
志位氏会見
日本共産党の志位和夫委員長は二十日、国会内で記者会見し、福井俊彦日銀総裁が村上ファンドへの一千万円の出資を行い、利益を得ていたとの資料を国会に提出したことについて「庶民感情からいっても許しがたい」と厳しく批判しました。
志位氏は、「金融政策の元締め、重要な役割のある人物が、村上ファンドというモラルとルールが問われる会社に出資し、総裁就任後も続けていた。一千万円が二千数百万円に膨らんだとすれば、自分もぬれ手で粟(あわ)の錬金術を行っていたことになる」として改めて福井氏の辞任を求めました。
オリックス、200億円を委託
オリックスの藤木保彦社長は二十日、東京都港区の本社で開いた株主総会で、「村上ファンド」への同社の資金運用委託額が三月末で約二百億円に上り、一年前に比べほぼ倍増していることを明らかにしました。資金を引き揚げるかどうかは「まだ決まっていない。各投資家の動向を踏まえて適切に判断する」と述べるにとどめました。
総会で藤木社長は、村上ファンド代表だった村上世彰容疑者の逮捕について「極めて遺憾であり、当社は容疑事実には全く関与していない」と強調しました。村上容疑者と関係が深い宮内義彦会長はこの件では一切コメントしなかったといいます。