2006年6月21日(水)「しんぶん赤旗」

主張

イラク自衛隊

空自もただちに撤退すべきだ


 政府は、イラクのサマワから陸上自衛隊を撤退させるとともに航空自衛隊の輸送先を戦闘が続いているバグダッドや北部地域にまで広げることを決めました。拡大される空自の輸送支援は、米軍・多国籍軍の戦争継続を支える要です。米軍とイラク治安部隊はいま、バグダッドとその周辺で大規模な掃討作戦を行い、多くの民間人の命を奪っています。空自の活動拡大は、米軍の掃討作戦を直接支援することになります。

 日本共産党の志位和夫委員長が党首会談で要求したように、陸自はもちろん空自もただちに撤退させるべきです。

派兵の誤りは明白

 自衛隊のイラク派兵と二年半の活動は、アメリカの先制攻撃戦争の一翼を担うものであり、憲法と国連憲章に違反することは明白な事実です。小泉首相が記者会見で、「正しかった」とのべたのは重大な誤りです。

 イラク戦争は、道理も大義もない国連憲章違反の無法な戦争です。ブッシュ大統領は、フセイン政権が「大量殺人兵器で平和を脅かす無法な政権」だといって攻撃をはじめました。国連が大量破壊兵器の有無の査察を行い、多くの国が武力行使を思いとどまるよう求めているのに、有志連合をひきつれ先制攻撃したのです。NATO(北大西洋条約機構)加盟国をふくむ多数の国が非協力の態度をとったのは当然です。

 ところが小泉首相は、世界の多くの国が開戦を批判するなか、いち早く戦争への支持表明を行い、派兵を強行しました。世界の異常といわなくてはなりません。

 ブッシュ政権は開戦後も、大量破壊兵器を発見しようと大規模な調査を行いましたが見つけることはできず、攻撃の理由そのものがうそだったことがあきらかになりました。フセインが9・11テロに関与しているという証拠もみつけることができず“テロとのたたかい”という正当化論も崩れました。三十八カ国だった軍隊派遣国の多くがアメリカのうそに反発し相次いで撤退し、二十四カ国にまで減っています。

 しかし、ここでも小泉政権は自衛隊の撤退要求を拒否し、世界で孤立を深めるブッシュ政権を支え続けたのです。国連憲章にもとづく平和の秩序よりも、日米軍事同盟の力で世界を動かすことをねらったものであることはあきらかです。

 現に戦争がたたかわれているイラクに自衛隊を派兵すること自体、戦争を放棄した憲法に違反する重大事態です。その上、日本政府が派兵を続け、この二年半にわたりアメリカの軍事支配を助けてきたことは絶対に許されることではありません。

 空自の活動拡大は、アメリカの強い要求を受け入れたものです。小泉首相がこうした空自の活動拡大を手土産に訪米しようとしているのは異常な対米追随姿勢を続けるものであり言語道断というほかありません。

イラク国民助けるには

 政府はイラクの復興を支援することを派兵の口実にしてきましたが、それが成り立たないことも今日明白です。陸自がサマワで軍事占領の一翼を担い、空自が米軍作戦の後方支援をすることによって、米軍の軍事作戦強行を支え、イラクの子どもや女性の命を奪うことを手助けしてきたことは打ち消せない事実です。

 イラクの事態は軍事一本やりでは解決できないことはあきらかです。武力の応酬という悪循環を断ち切るためにも、陸自はもちろん空自もただちに撤退し、アメリカへの軍事支援はやめるべきです。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp