2006年6月22日(木)「しんぶん赤旗」
イラク派兵、直面するたたかい
CS放送 志位委員長語る
日本共産党の志位和夫委員長は二十一日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、朝日新聞の早野透編集委員の質問に答えました。
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早野 小泉首相がイラクの陸上自衛隊を撤退すると表明したが。
空自の活動拡大の重大な危険
志位 私たちは、もともと派兵に反対で、速やかな撤退を求めていました。陸自の撤退は当然ですが、問題は航空自衛隊です。これまでは(活動地域は)南部の二つの空港に限られていたが、それを首都と激戦地の中心に広げる。いまアメリカがイラクで掃討作戦と称して、民間人を含めて無差別に殺戮(さつりく)する軍事活動をおこなっていますが、そこに直接自衛隊が乗り入れるということになると、「復興支援」という看板がすっかり変わり、米軍の掃討作戦支援と、文字通りの軍事一体化ということが正面に出てくる。いっそう危険な方向に活動が一歩大きくシフトする重大問題です。空自を含めた全部隊の撤退を強く求めます。
悪法阻止へ―国民のたたかいさらに広げたい
早野 国会が終わったが重要法案がみんな継続になった。
志位 「延長せず」としたのは、小泉首相のいろいろな思惑もあったでしょう。同時に、国民の批判とたたかいが広がっていくもとで、与党といえども、無理押しして通したら大変なことになる、容易じゃないなという力が働いたと思います。終盤国会で四大悪法=教育基本法改定、改憲手続き法、共謀罪、医療改悪法のうち、医療は強行されましたが、残りの三法案の成立を許さず秋にもちこしとなったことは、国民のたたかいの成果といってよいと思います。
教育基本法改定を許さないたたかいは急速に広がりました。私たちも国会で追及して、「愛国心通知表」や、教育基本法の一〇条を変えて国家権力の介入を無制限にするという本質論で、かなり突っ込んで問題点を明らかにするなかで、ぐっと国民の運動が広がった。
早野 教育基本法と国民投票法は民主党が対案を出して、議論のベースに入ってきた。秋の臨時国会は厳しいたたかいになるのでは。
志位 たしかに、自公と民主の案はだいたい中身が一緒です。そういう危険性は正面から見る必要がある。ただ、国民の運動も広がって、教育基本法をめぐっては、労働組合の違いを超えて協力が始まっている。それも一つの契機にしながら国民的な共同が広がる状況が生まれています。国民の世論でどこまで追い詰めていけるのか。閉会中のたたかいが非常に大事です。
福井氏問題―首相の政治責任は重い
早野 福井日銀総裁が村上ファンドに投資していた問題は辞任に値するのか。
志位 辞任を要求しています。日銀総裁は金融政策の大元締で公正さと中立性が求められる。彼は「量的緩和政策」を解除する直前の二月に解約を申し入れ、資金の回収をはかった。これはある意味で、福井さん自身が究極・最悪のインサイダー取引をはかったということになる。いずれにせよ濡(ぬ)れ手であわのお金のおこぼれにあずかった責任は重い。
早野 小泉改革との関係は。
志位 大ありですね。金融の規制緩和をずっとすすめてきた。例えば株式分割、株式交換など金融市場が投機的市場になるという仕掛けをつくった。もう一方で株でもうけた利益への税金は二割だったのを一割まで減らした。村上ファンド、ライブドア、ああいう勢力が雨後のたけのこのようにでてくる状況をつくったのは小泉金融改革です。その中で福井氏を任命し、福井氏はこの流れのなかで自分の利益を得ていた。首相の政治責任は重い。
国民的批判をひろげ悪法廃案へ
早野 政治の節目でどんな課題を設定していくのか。
志位 教育基本法改定案、改憲手続き法案、共謀罪法案、防衛省に格上げし海外派兵の任務を基本に入れるという一連の法案は、すべて憲法にかかわる、国のありかたにかかわる重大法案。それが秋にもちこされた。秋の陣は日本の命運をかける大事なたたかいになってきます。国民的批判をうんと広げて、秋にすべてを廃案に追い込むという構えでたたかいをすすめたいと思っています。