2006年6月29日(木)「しんぶん赤旗」
解説
靖国参拝での首相発言
「個人の自由」履き違え
自らの靖国参拝への内外の批判に対して「個人の自由だ」と開き直った小泉純一郎首相の言動は「個人の自由」を履き違えた議論です。
もともと、靖国参拝を二〇〇一年の自民党総裁選の際に公約し、政治問題化させたのは、小泉首相自身です。それへの批判が強まると、「思想、良心の自由」を持ち出して個人的問題にすりかえて批判をかわそうとするのは、無責任きわまりない話です。
靖国神社は、日本の侵略戦争を「自存自衛」「アジア解放」の「正しい戦争」だとする宣伝センターの役割を果たしています。そこへ、国政の責任者が参拝すれば、政府がそうした歴史観、戦争観にお墨付きを与えたことになるのは、だれがみても明らかなことです。
中国政府の言い分がどうかという以前に、日本政府として過去の侵略戦争にどういう態度でのぞむのかが問われるのです。国内で侵略戦争正当化の施設を特別扱いして参拝しておきながら、いくら海外で「植民地支配と侵略への反省」を口にしても信用されないのは当然です。(藤)