2006年7月2日(日)「しんぶん赤旗」

住民税増税

押しつけた自民・公明


 全国で悲鳴があがる住民税大増税。連動して介護保険料、国民健康保険料、敬老パスの値上がりも……。こんな大増税、負担増をだれが推進し、だれが反対したのでしょうか。

定率減税廃止へ旗振り 公明

選挙での増税反対ほごに 自民

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公明 2003年総選挙で公明党が出した「公明新聞」号外から。「こうすれば100年は大丈夫―『公明党の年金安心プラン』」として、定率減税の段階的廃止を主張

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自民 2005年の東京都議選で「サラリーマン増税は許さない」と宣伝した「自由民主」号外

 大増税の元凶は――。

 ▼二〇〇四年度の税制「改正」 老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小

 ▼〇五年度の税制「改正」 所得税・住民税の定率減税の半減、高齢者の住民税非課税措置の撤廃

 これらが一挙に今年六月からの住民税に適用されたためです。

 庶民、お年寄りいじめの大増税を推進したのは小泉内閣と自民、公明両党の与党。もともと言いだしたのは、公明党でした。

 公明党は、基礎年金の国庫負担引き上げの財源案として、〇三年九月の「年金100年安心プラン」や同年衆院選のマニフェストに、年金課税の強化や定率減税の見直しを掲げました。「高額所得の方々から少し税金をいただこうという案だ」(神崎武法代表、〇三年十月十日)と大宣伝。同年暮れの〇四年度の「与党税制改正大綱」に書き込んだのです。

 当時、同党政調会長として、これを推進した北側一雄国土交通相は、「公明党は、マニフェスト(政権綱領)で示した通り、所得税の定率減税と年金課税の見直しで財源を捻出(ねんしゅつ)してはどうかと主張しました」「この結果、最終的に05、06年度にはこの定率減税を縮減する方針で合意」(公明新聞〇三年十二月十九日付)と自賛したほどです。

 さらに自民、公明両党は、定率減税を全廃することを「与党税制改正大綱」で合意し、先の通常国会で強行しました。

 この結果、〇七年一月には、定率減税の全廃による所得税の再増税、六月にはまたもや住民税の増税が襲いかかることになります。

 〇五年の衆院選のさい、「サラリーマン増税」は行わないと公約した自公両党。それをほごにしての増税決定でした。

共産党 「雪だるま式」負担増に反対

 「雪だるま式に負担が膨らんでいく」――日本共産党の志位和夫委員長は、〇五年二月三日の衆院予算委員会で、住民税増税で負担が連続していく仕掛けを告発しました。(別項)

 日本共産党は、庶民いじめの大増税、負担増を全面的に追及。定率減税を廃止しようとする政府・与党の矛盾した主張も徹底批判し、大もうけをあげている大企業には減税を続ける小泉政治に正面から切り込んだのです。

 「老齢者に対する優遇措置は、収入が減り、体力が低下する高齢者にとって必要なもの。戦後ずっととられてきた措置を根本的にひっくりかえすものだ」(佐々木憲昭議員、〇五年二月二十八日、衆院財務金融委員会)

 「毎年赤字で預金を切り崩している世帯にまで課税するのは残酷ではないか」(吉川春子議員、〇五年三月十七日、参院総務委員会)

 しかし、政府は「税はだれでも負担しないとならない」(小泉純一郎首相、〇五年三月二日、衆院総務委員会)などと開き直りました。

 日本共産党は、先の通常国会でも「まさに心配のことが起こっている。年金収入は一円も増えないのに、十万円も負担が増える。これで暮らしが成り立つと思うか」(小池晃議員、三月三日、参院決算委員会)と雪だるま式の増税・負担増路線を現実を踏まえて追及しました。しかし、小泉内閣と自公両党は、まったく国民の悲鳴に耳を貸そうとはしません。

 庶民いじめの大増税を推進した自民、公明両党と、徹底して反対し、撤回を求めた日本共産党――来年のいっせい地方選、参院選は政府・与党の大増税路線に対する大きな審判の場となります。

警鐘鳴らした志位質問(05年2月)再録

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(写真)質問する志位和夫委員長=05年2月3日、衆院予算委

 志位和夫委員長 総理にうかがいたいのは、庶民の生活実態はどうなるかという認識です。

 たとえば政府・与党は、お年寄りの住民税の非課税措置を廃止するとしています。三年間で廃止するというが、これによって全国で百万人、東京だけで二十万人のお年寄りが住民税が非課税から課税になります。非課税から課税になりますと、税金だけじゃありませんよ、国民健康保険料、介護保険料が、連動して値上げになるんです。負担増が雪だるま式に膨らんでいくことになります。

 試算してみたのですが、国保とか介護の保険料は自治体によって違いますから、東京・大田区の場合で、年金百八十万円の一人ぐらしのお年寄りの負担増がどうなるかです。現在は非課税ですから、税はかかっておりませんが、保険料は(国保と介護と)二つあわせて、五万九千円。それが増税後、税がかかると、連動して国保料もあがる、介護保険料もあがる、全部連動して雪だるま式にあがるんです。そうしますといま五万九千円の負担が、十二万四千八百円の税と保険料の負担になる。倍以上になるんですよ。

 こういう事態になることを、総理は“負担増の影響は小さい、大したことない”ということをおっしゃって、十分認識しているのか。総理の認識をうかがいたい。

 小泉純一郎首相 税の負担だけでいいますけどね、予算というのは歳出があるんですよ。いまの来年度の予算におきましても、いちばん使っている予算は、地方にいく金を除いて、社会保障ですよ。年金も医療も介護も生活保護も含めて、いちばん税金をその部分に使っているんです。だから、その負担の部分だけあげて福祉をやってないという批判は当たらない。

 志位氏 私が聞いたのは、お年寄りの負担増が雪だるま式にふくれあがっていく、これは非常に深刻な問題ですよ。さきほどの十三万円もの負担というのは一カ月分の年金に匹敵するものです。こういう問題について知っているのかと聞いたんです。そういう問題について、本当に真剣に誠実に答える姿勢がなく、そういう冷酷な姿勢のまま国民すみずみにまで負担増を押しつけるというようなことをやったら、これは絶対に景気がよくなる道理がない。


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