2006年7月6日(木)「しんぶん赤旗」
介護施設
退所1000人超す
食・居住費の負担増が原因
昨年十月から改悪介護保険法によって、特別養護老人ホームなど介護施設の食費・居住費が介護保険給付の対象から外され、原則として全額利用者負担になりました。この負担増が原因で施設を退所した人が、全国で少なくとも千十一人に上ることが五日、明らかになりました。中央社会保障推進協議会や、日本共産党国会議員団などの調査を集計したもの。
三重県の調査(昨年十月―今年三月)では百十六人が退所。負担軽減措置のない住民税課税世帯が八十三人に上りますが、負担軽減のある同非課税世帯からも二十四人の退所者が出ています。
埼玉県の調査(昨年十月―同十二月)でも、三十四の老人保健施設で八十二人が退所していました。入所相談者のうち「経済的理由」で辞退した人は、特別養護老人ホームで五十八人(総相談数の2・1%)、老人保健施設二百三十八人(同5・1%)です。
鳥取県の調査(昨年十月―今年二月三日)では二十二人が退所。十五人が自宅に戻っていますがこのうち介護度の重い、要介護4と同5が過半数の八人を占めます。
党国会議員団は、国の責任で退所者の全国調査をするよう国会で再三求めています。これをうけ厚生労働省は都道府県に調査を依頼しており、近く調査結果をまとめる予定です。
解説
低所得者対策の実効性問われる
介護施設の食費・居住費の全額自己負担化は自民、公明、民主の賛成で二〇〇五年成立した改悪介護保険法によるもの。
住民税課税世帯には負担軽減措置がなく、特養ホームの多床室で国の基準額でも月二万五千円の負担増です。さらに同世帯の実際の負担額は施設と利用者の契約で自由に決められ、事実上“青天井”。基準額を上回る施設も少なからずあり、退所者が多く出ています。
一方、負担軽減措置がある住民税非課税世帯でも退所者が出ており“低所得者対策を実施するので問題はない”としてきた国の対策の実効性が問われます。