2006年7月8日(土)「しんぶん赤旗」
イラク従軍拒否
米陸軍、ワタダ中尉を訴追
同氏への支援運動広がる
【ワシントン=山崎伸治】イラクへの従軍を拒否した初の米軍現役将校であるエーレン・ワタダ中尉について、米陸軍は五日、部隊の移動に参加しなかったことなど三項目の統一軍事裁判法違反で訴追しました。同氏を支援するグループは六日、ワシントン州の陸軍基地フォート・ルイス近くで抗議行動を行うなど、運動を強めています。
ワタダ氏はイラク戦争に抗議し、六月七日に従軍を拒否することを記者会見で表明。同二十二日に陸軍の派遣命令を正式に拒否していました。
陸軍は、部隊の移動に参加しなかったこと(統一軍事裁判法第八七条)に加え、二件の大統領に対する侮辱行為(同第八八条)、三件の将校にふさわしくない行為(同第一三三条)で同氏を訴追しました。
同氏の代理人を務めるセイツ弁護士は五日、「部隊の移動に参加しないことで訴追されることは予想していたが、侮辱行為、将校にふさわしくない行為で訴追されたことに驚いている」と述べました。
陸軍が訴追の中で「大統領に対する侮辱行為」としてあげたのは、「大統領がわれわれを誤った戦争に従事させていることが分かったことで、信頼のきずなは断たれてしまった」などと述べた記者会見でのワタダ氏の発言です。同弁護士は、この発言への訴追は憲法修正第一条(表現の自由)をもとにしたものだと指摘。「大統領に対する侮辱行為」で処罰された例は、ベトナム戦争中の一九六五年が最後であるといいます。
軍法会議ですべての罪状について有罪とされれば、七年以上、軍事刑務所に収監されることになります。
ワタダ氏を支援する動きは全米に広がっており、統一行動日とされた六月二十七日には三十以上の都市で集会が開かれています。