2006年7月13日(木)「しんぶん赤旗」
“住む権利” イスタンブール宣言とは?
〈問い〉 先日(5月30日)の小林みえこ議員の質問にあったイスタンブール宣言とはどういうものですか? “住む権利”を法律に明記している国があるとのことですがもう少し具体的に知りたいのですが。(東京・一読者)
〈答え〉 1996年にトルコのイスタンブールで開かれた第二回国連人間居住会議での「イスタンブール宣言」で、「適切な住居への権利の完全かつ漸進的な実現というわれわれの約束を再確認する」とされました。
その行動計画では各国政府がその実現に積極的に取り組み、自国の重要課題として展開することを確認しあいました。
日本政府もこれに調印しています。また国際人権規約(社会権規約)は適切な住まいをすべての者の権利と認め、締約国政府にたいし権利の実現と実施状況の報告義務を課しています。
これに基づき国連の社会権規約委員会は各国の政府報告書を審査し、勧告などをふくむ所見を表明しています。
日本政府は2001年の委員会所見で、「震災弱者の住宅再建の困難化」(28項)や「ホームレス対策の不十分さ」(29項)などの厳しい指摘を受けて近く報告書の提出を迫られています。
海外の住宅政策をみても“住む権利”を法律に明記する国が増えています。
たとえば、フランスでは90年の「ベッソン法」の第1条で「住宅への権利を保障することは、国民にとって連帯の義務の一つである」と規定しています。
先の国会で成立した「住生活基本法」は、基本法といいながら“住む権利”を明確に規定していません。
そればかりか、いままで不十分ながら公営・公団(現機構)・住宅金融公庫融資の公的住宅建設の目標を定めた「住宅建設計画法」を廃止しました。
現に、同計画で不十分ながらもおこなってきた公営、公団(現機構)賃貸住宅建設からの撤退や、持ち家取得を支援するため長期、固定、低金利の融資をおこなってきた住宅金融公庫も民間金融機関の補完機関にするなどの、国民の“住む権利”を保障する住宅政策が後退する事態がすすんでいます。(高)
〔2006・7・13(木)〕