2006年7月16日(日)「しんぶん赤旗」

経済格差、教育に直結

京都 無償化拡大へシンポ


 世界でも類のない高い学費の問題について考えあおうと十五日、大学教員らが「中等教育・高等教育における無償教育の漸進的導入」に関する公開シンポジウムを、龍谷大学(京都市下京区)で開きました。主催は、高等教育研究会と国際人権A規約第一三条の会、京滋地区私大教連です。

 シンポジウムでは、一三条の会共同代表で京都橘大学教授の碓井敏正氏と、元国連人権高等弁務官事務所人権担当官の白石理氏が報告。碓井氏は、経済「格差」の拡大が教育の「格差」拡大に直結する問題を指摘し、「すべての人に均等に教育の機会を保障し、格差の世代間継承を阻むのが教育の本来の役割だ」と述べ格差拡大を進める政治を批判しました。

 白石氏は、国連の人権委員会が今年三月、総会直属機関として人権理事会に格上げされ日本が理事国になったことにふれ、「日本政府は人権の保護、促進を約束している責任がある」と強調。教育を受ける権利が侵害されている現状などを、人権理事会に働きかける意義を述べました。

 報告に続く「公聴会」では参加者が発言。「高校生が、同じ高校生のために奨学金を貸し出そうと募金活動をしている」(愛知県の高校三年)、「教科書も高く、追試も有料。バイトで成績が下がると学費減免の資格を失う」(山口大学医学部四年)、「進学校では授業料減免率が低いなど、経済的格差と学力格差が明らかだ」(京都府立高校教員)と述べました。

 国際人権A規約 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約。日本は、このA規約のうち、高等教育の無償化導入を定めた一三条二項b、およびcの批准を二十五年以上にわたり留保しています。留保しているのはA規約批准国百五十一カ国のなかでは日本のほかルワンダとマダガスカルだけ。六月三十日を期限に留保の撤回を求められていたにもかかわらず、日本政府は「財政難」を口実に批准を拒み続けています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp