2006年7月22日(土)「しんぶん赤旗」
現行制度でもこれだけある
高齢者負担の 軽減策
「住民税が九倍だよ。年寄りは死んじまいなって言われているみたいだ」「住民税がゼロから四千四百円になった。介護保険料も国民健康保険料も上がるらしい」―。自民党や公明党が強行した住民税増税とそれに伴う介護保険料や国民健康保険料の値上げに各地で悲鳴が上がっています。
各地では、日本共産党や市民団体などに切実な相談が寄せられています。日本共産党は政府に対して増税中止を求めるとともに、住民税や介護保険、国民健康保険料など制度を活用して負担増を軽減させる運動を呼びかけています。
税・保険料
高齢者の暮らしを守る
これだけの軽減制度
高齢者への大増税が大問題になっています。政府に対して増税中止を求めるたたかいを進めるとともに、既存の各種制度を活用して、高齢者の負担を少しでも軽くすることが重要です。どのような制度があるのか、紹介します。
医療費控除などの活用
年間の医療費が「所得の5%か、十万円か、どちらか少ない方」を超えた場合に、超えた分を控除できます。
「十万円を超えなければダメ」と思い込んでいる人が多いのですが、これは違います。年金が二百万円なら公的年金等控除を差し引いた所得は八十万円で、その5%は四万円ですから、四万円を超えた分の医療費相当額を控除することができます。月一万円の医療費なら、税金が一万円以上安くなる可能性があります(表1参照)。
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まだ確定申告していなければ過去五年分について申告可能ですが、すでに確定申告している場合の医療費控除の追加は一年以内にしなければならないので、注意してください。
障害者や寡婦は税軽減
納税者本人が障害者の場合は、障害者控除が受けられますし、住民税は所得百二十五万円の非課税限度額が適用されます。
一般的には「障害者」とは障害者手帳の交付を受けている場合をいいますが、手帳を交付されていなくても、常時寝たきりで介護を要する場合や、障害者に「準ずるものとして市町村長等の認定を受けている」場合にもあてはまります。すでに要介護の認定を受けている人は、状況によって障害者としての認定も可能となる場合があるので、市町村に認定を求めることが重要です。詳しくは、「しんぶん赤旗」六月三十日付くらし・家庭欄(十面)の記事を参照してください。
寡婦や寡夫に該当する場合(表2参照)も、寡婦(夫)控除や住民税非課税限度額の対象になります。
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課税額に誤りがある場合も
市町村の「納税通知書」に計算間違いがある場合もあります。今回は、課税対象が一気に増えたので、市町村の事務作業も増え、ミスが起きる可能性も大きくなっていますので、計算に疑問の点があったら、確かめることも重要です。
納税者本人が税務署や市町村に情報を正しく伝えていない場合もあります。
年金生活者で、社会保険庁から送られてくる「扶養親族等申告書」のはがきを、「私は単身者で扶養親族はいないから」と提出しなかったために、過大な税金を源泉徴収された例もあります。
この場合は、遅れてでもはがきを出すか、確定申告をすれば、取られ過ぎた税金が返ってきます。
減額・減免の申請をする
国民健康保険料には、均等割や平等割の減額制度が法定されています。
このうち、「七割―四割」の減額は、所得の申告さえしてあれば自動的に適用されますが、「二割減額」だけは本人が申請しないと受けられません。要件に該当する場合は、申請することが必要です。
住民税や国保料、介護保険料には、条例で「減免」の制度が決められています。
減免の基準は市町村によって違い、「生活保護基準の一・五倍」などと細かく決めている市町村もあれば、特段の基準は定めずに担当窓口で柔軟に対応している市町村もあります。
「生活が大変で、とても払えない」という状況ならば、とにかく市町村の窓口で相談することです。
減免申請の期限 遅れずに
確定申告による税の軽減と違って、減免の申請は時期を逃すとできなくなります。
住民税は「六月、八月、十月、一月」の年四回、国保料も年に何回かの納期に分けて請求されます。たとえ減免の要件を満たしていても、その納付期限が過ぎた分については、さかのぼって減免を受けることができません。
市町村によっては「減免申請は納付期限の七日前まで」などと決めているところもありますので注意してください。
(日本共産党政策委員会 垣内亮)