2006年7月23日(日)「しんぶん赤旗」
石綿救済法は不十分
環境公害セミナー
工場周辺住民ら訴え
「アスベスト(石綿)救済新法は不十分。石綿肺も救済対象に」――。大阪・泉南地域の住民団体らが、二十二日に東京・千代田区でひらかれた第十六回環境公害セミナーで、国のアスベスト被害対策を批判し、一世紀にわたって石綿関連工場が集中した泉南地域で被害がひろがっている「石綿肺」患者らの実態調査とすべての被害者の救済を訴えました。同セミナーは、公害・地球環境問題懇談会、東京保健会病体生理研究所が開催したもの。
セミナーでは、昨年八月に結成された「泉南地域の石綿被害と市民の会」の柚岡一禎・世話人代表と、泉南地域でのアスベスト被害の国家賠償訴訟弁護団の村松昭夫・全国公害弁護団連絡会議副幹事長が報告しました。
柚岡さんは、同地域が戦前・戦後にわたりアスベスト零細工場が集中していて、地域がひとつの大きな工場だったと指摘。「工場労働者がかかる職業病の石綿肺がその家族や住民にでているのに、国は救済対象にしなかった。工場は昨年十月に全部ストップしたが、長い潜伏期間があるアスベスト被害が心配だ」と発言しました。
村松副幹事長は、「泉南地域の被害を国は知っていた。一九三七年から四〇年にかけて旧内務省保険院社会保険局の医師らが、十一工場の石綿肺患者を調査し、法的規制などの必要性を指摘し、戦後も継続して調査がおこなわれていた」と報告。「国が意図的に放置してきたと思えるほど深刻で、ことし五月におこした国賠訴訟では、国の責任を明確にし、アスベスト救済新法の見直しをもとめていく」と強調しました。