2006年7月26日(水)「しんぶん赤旗」
施設の一部に問題
米の対日牛肉輸出で「事前査察」
紙議員に農水・厚労省
BSE(牛海綿状脳症)の危険部位除去違反で輸入が全面ストップしている米国産牛肉問題で、厚生労働省と農水省が米国に派遣した政府調査団の「事前査察」の結果、三十五カ所の食肉施設の一部に問題のあることが二十五日に明らかになりました。日本共産党の紙智子参院議員にたいする両省の担当者の説明でわかったもの。
三十五施設のうち何カ所で問題があるのか、輸入再開条件の順守にかかわる重大な問題なのかなどの詳しい内容は「いま整理しているところ」として、明らかにしませんでした。
紙議員は「輸入手続きを停止して国内の倉庫に保管している米国産牛肉が、問題のある施設から出荷されていた場合は、どう対応するのか」「再開を決定したあとに、査察結果や問題点を国民に説明するというのでは、国民の納得はえられない」と指摘し、米政府いいなりの輸入再開を批判しました。
米政府は、日本に一月二十日までに輸出された米国産牛肉について、再調査報告を日本に提出。三十五施設のうち二十六施設の手順書に問題があったものの「すでに改善され」「製品の安全にかかわらない」としていました。しかし、両省による「事前査察」で問題がみつかったことは、米政府のチェック体制の不備を裏付けるものです。日本側の調査で条件順守にかかわる問題が見つかった場合、「日米両政府が緊密に協議する」(六月二十一日の日米合意)ことや、米側で問題が改善されない場合に輸入を再開しないことになっています。
紙議員は「日本側で問題を把握しながら、米政府いいなりに『安全にかかわる問題ではない』として輸入を再開することは、国民の健康と食の安全を守る責任を放棄するものです。消費者の不信を広げることになります」と話しています。