2006年7月29日(土)「しんぶん赤旗」

負担増で庶民は“悲鳴”

「増税戦犯」公明ダンマリ


 お年寄りの住民税が数倍から十数倍、それに連動して介護保険料や国民健康保険料などが「雪だるま」式に膨れ上がる――生存権を脅かす増税・負担増に全国で怨嗟(えんさ)の声が広がっています。ところが、それをリードしてきた「増税戦犯」公明党はだんまりを決めこんでいます。


 公明新聞二十五日付は年金の“実績”の一つとして「基礎年金の国庫負担を09年度まで従来の3分の1から2分の1へと引き上げる」ことをあげていますが、その「財源」として同党が主張してきた年金課税の強化と所得税・住民税の定率減税の全廃にはふれていません。全国であがるお年寄りの増税・負担増に対する悲鳴についても、公明新聞は報じていません。

骨太の方針誇る

 それどころか同党は、社会保障を中心とした歳出削減をすすめ、消費税増税の方向を打ち出した「骨太の方針2006」を「公明党の主張が大きく反映」「歳出入両面で道筋示す」と誇っています。

 そもそも急激な増税・負担増となったのは、自民、公明両党が決めた二〇〇四、二〇〇五両年度の税制「改正」の内容――年金課税の強化と所得税・住民税の定率減税半減がいっせいに襲いかかってきたためです。(年表)

マニフェスト掲げ

 この年金課税の強化と定率減税の見直しを政党として真っ先に言い出したのが、公明党でした。

 同党は、それらを〇三年十一月の衆院選「マニフェスト(政権綱領)」に掲げて大宣伝。〇四年の国会審議で撤回を求める声が出ても「年金を持続的にしていくには負担を若干増やしていただかないといけない。年金額は現在より減らしていただかないといけない。そのバランスが大事だ」(坂口力厚生労働相=当時、〇四年二月十二日の衆院予算委員会)などといって強行したのです。


◆語 録◆       

“高額所得者からとるだけ”

 ◆「(年金課税の強化と定率減税の見直しについて)高額所得の方々から、少し税金をいただこうという案だ」(神崎武法代表、2003年10月10日の東京都内での街頭演説)

 ◆「定率減税というのは、実際は中高所得者の方々に恩恵がいっている減税だ。大衆課税だとかそんな批判をされているが、とんでもない話だ」(北側一雄政調会長=当時、03年10月19日のテレビ番組で)

 ◆「我々はマニフェストの中で、年金課税の創設、定率減税の廃止と具体的に提案しているわけです。ほかの党では、ないんじゃないですか、そういうことを具体的に言っているのは」(冬柴鉄三幹事長、03年11月25日の衆院予算委)

 ◆「年金課税の見直しも行わないのであれば、どのようにして必要な財源を確保し、段階的引き上げを実現するのであろうか」(長沢広明議員、04年8月5日の衆院本会議)

 ◆「(年金課税について)現役世代からの収入だけでやっていくのでなく、やはり高齢者にも可能な範囲で負担をお願いしてやっていくことは大変大事だ」(北側一雄国土交通相、05年3月4日の参院予算委)


庶民増税の経緯

【2003年】

9月 公明党が衆院選マニフェストに「年金課税の強化、定率減税の見直し」を掲げる

12月 自民、公明両党が2004年度税制「改正」大綱で老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を明記

【2004年】

3月 老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立

12月 自民、公明両党が2005年度税制「改正」大綱で所得税・住民税の定率減税の半減、高齢者の住民税非課税措置の廃止を明記

【2005年】

1月 所得税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を実施

3月 定率減税の半減、高齢者の住民税非課税措置の廃止を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立

【2006年】

1月 所得税の定率減税の半減を実施

3月 所得税・住民税の定率減税全廃を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立

6月 住民税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、非課税措置の廃止、定率減税の半減を実施

【2007年】

1月 所得税の定率減税の全廃

6月 住民税の定率減税の全廃


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