2006年8月3日(木)「しんぶん赤旗」
大型店規制は欧米諸国と日本でどう違う?
〈問い〉 大型店の規制は欧米諸国と日本ではどう違いますか?(兵庫・一読者)
〈答え〉 スーパーマーケットやショッピングセンターのような大型店の出店規制については、歴史や考え方から、大きく分けて二つの流れがあります。
一つは、中小商店の役割を重視し、多様な商業形態を保障するという点から大型店を規制する考え方です。「商業調整」といわれます。自由競争に任せると、大型店が中小商店をどんどん駆逐し、多様性が無くなるからです。フランスやイタリアで強い考え方です。
もう一つは、都市計画や国土利用の観点から、整備された美しいまちづくりを図ろうとする考え方です。イギリスやドイツが採る方法です。
フランスでは、店舗面積300平方メートルを超える店舗は、県の委員会が、既存の商店街との競合状態や公共輸送手段の整備、都市内の中小商工業者への影響などを審査し許可します。
イタリアでは、州の商業計画に沿って市町村が決定します。
両国とも、近年、都市計画の視点も併用し、規制は強化されています。
イギリスでは「都市・田園計画法」により、すべての土地の開発が長期の土地利用計画と都市開発計画に沿って市町村により許可されます。ドイツでは国や州の計画に合う土地利用計画を市町村が作り、許可します。
商業は都市機能として重視され、イギリスでは、中心市街地活性化のために郊外型大型店が抑制され、ドイツではショッピングセンターの出店は指定された区域に限られています。
商業調整と都市計画にもとづく大型店の出店規制が一体的にとりくまれているのです。
アメリカでは、地方自治体がゾーニング(土地用途区分)条例などを持ち、大型店の出店を制限する権利があります。
一方、日本では大型店出店についての商業調整もなく、ヨーロッパのように全土を対象とした国の土地利用計画もありません。さらに地方自治体が大型店を独自に規制する権限もありません。その結果、大型店は自由に出店し、客を奪われた商店街や中心市街地までさびれています。
都市計画と商業調整の両面からの実効ある規制、さらに地方自治体にまちづくりに関する権限を付与することが必要です。(大)
〔2006・8・3(木)〕