2006年8月5日(土)「しんぶん赤旗」
空自 活動範囲広く
イラク派兵計画 変更を閣議決定
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政府は四日の閣議で、イラク南部サマワに派兵していた陸上自衛隊の撤退に伴うイラク派兵基本計画の変更を決定しました。新たな計画では航空自衛隊の活動範囲を拡大し、撤退条件に米軍を意味する「多国籍軍の活動状況」を加えました。
新たな計画では、陸自の活動に関する事項については、陸自撤退にかかわる業務を加えて、ほかはすべて削除。空自の活動範囲として、従来のバスラ、バグダッドなどに加えてイラク南部タリル、北部アルビルを追加して例示しました。バグダッドについては、これまで治安上の問題から活動を見合わせていましたが、七月三十一日に多国籍軍の兵士の空輸を初めて実施しました。
活動内容は従来と同じ「人道復興支援」活動と、米軍の「掃討作戦」と称する軍事作戦を支援する「安全確保支援」活動ですが、バグダッドへの空輸に見られるように、「安全確保支援」に特化した活動になる見通しです。
空自の撤退を判断する条件として、従来と同じ(1)イラクの政治状況(2)現地の治安状況(3)イラク復興の進展状況―に加え、新たに「国連及び多国籍軍の活動状況」を追加しました。従来の計画では、この部分は「英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍の活動状況」となっていました。
これを受け政府は、サマワに駐留していた英豪軍の撤退に合わせて陸自撤退を決めました。
新たな計画での「多国籍軍」は米軍を意味します。米軍は現時点でイラク撤退の動きは見せておらず、事実上、米軍駐留が続く限り空自による支援を行う方針を示したものです。