2006年8月10日(木)「しんぶん赤旗」

外交にとどめの汚点

首相参拝発言

志位委員長が批判


 日本共産党の志位和夫委員長は九日、小泉純一郎首相が終戦記念日の八月十五日に靖国神社を参拝するとした二○○一年の自民党総裁選での公約を果たす意向を示したことに対し、時事通信の取材にこたえ、「首相の参拝で対アジア外交は行き詰まり破綻(はたん)した。これだけ非難を受けても参拝するなら最後にとどめの汚点を加えることになる」と厳しく批判。「今からでも中止の決断を求めたい」と述べました。


解説

“後は野となれ”の身勝手

 首相の靖国参拝についてはアジア諸国のみならず欧米諸国からの批判も強まっています。この間の世論調査でも参拝反対の声が過半数を超えています。そうした批判の声を一顧だにせず、“これは公約だ”と開き直る首相の発言は国内外世論への重大な挑戦です。

 日本の侵略戦争を「自存自衛」の戦争、アジア諸民族「解放」のための戦争だと賛美する歴史観を宣伝する靖国神社に首相が参拝することは、その歴史観に政府としてお墨付きを与え、戦後政治の原点と国際秩序を踏みにじる態度です。

 特に八月十五日は、戦争への反省と不戦の誓いを新たにすべき日であり、その日に首相参拝を強行することは、戦争賛美の象徴として特別の意味を持ちます。“靖国”派が十五日の参拝を特に求めるのもそのためです。アジアはじめ世界の人々の反発を強め、日本の外交的行き詰まりをいっそう深刻にすることは避けられません。

 小泉首相自身、参拝を繰り返しながらも八月十五日を避けてきた理由について「再び内外に不安や警戒を抱かせない」と述べていました(二〇〇二年四月)。

 こうした自らの発言も投げ捨て、任期切れが近いからということで八月十五日の参拝を強行するのであれば、「後は野となれ山となれ」という極めて身勝手な態度といわなければなりません。

 靖国問題は自民党総裁選の「争点」という「枠」を超えた、日本の政治の異常な後進性の克服という重大な政治課題です。首相参拝は断じてやめるべきであり、強行すればいっそう大きな国民の批判を呼び起こさざるをえません。(中祖寅一)


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