2006年8月19日(土)「しんぶん赤旗」
「財政再建団体」とは?
〈問い〉 夕張市が「財政再建団体」を申請しましたが、財政再建団体とはなんですか?(埼玉・一読者)
〈答え〉 市町村などの地方自治体が財政赤字に陥った場合、国から「財政再建団体」の指定を受けて、赤字の解消を行う地方公共団体のことです。
法律(地方財政再建促進特別措置法)では、赤字額が一定額(都道府県は標準財政規模の5%、市町村は同20%)を超えた場合、財政再建団体(正式には準用財政再建団体)の指定を受けることができます。
戦後復興に大きな財政負担が強いられた1945年(昭和20年)以降の十年余、多くの地方自治体が歳入不足に陥り赤字に転落しました。この事態を打開するために、55年の臨時国会で「地方財政再建促進特別措置法」が制定され、588団体(18府県、570市町村)がこの法律にもとづいて再建団体になりました。
直近では福岡県赤池町(現・福智町)が92年度に準用財政再建団体となり、01年度に再建が完了しています。
北海道夕張市は今年6月20日、市長が市議会に財政再建団体入りの意向を表明し、来年度に国の指定を受けたいとしています。
赤字団体が国の指定を受けて財政再建する場合には、(1)議会の議決を経て総務大臣に指定の申請をする、(2)財政再建計画を作成し議会の議決を経て、総務大臣の承認を受ける、という手続きが必要です。再建団体になると、公共料金の値上げや独自の福祉施策の廃止・切り下げ、職員と人件費の削減、建設事業の中止・抑制――など住民サービスの低下の危険があります。
一方、国や都道府県には再建団体に協力する義務が生じます。総務大臣は「行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するもの」との規定もあります。承認された場合の財政支援措置としては、一時借入金について政府資金の融資斡旋、借入金の支払利子および退職手当債についての特別交付税措置、地方債の発行制限の解除などがあります。
地方自治体の財政の悪化は、それぞれの自治体の独自の事情のほか、90年代の国による景気対策等での地方公共事業の急増と税収減、特に、最近の「三位一体の改革」による地方交付税の大幅削減が大きな要因となっています。(小)
〔2006・8・19(土)〕