2006年8月26日(土)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎訴訟
将来不安、解決早く
全国5地裁 32人が追加提訴
血液製剤フィブリノゲンやクリスマシンなどによってC型肝炎に感染させられた患者が国と製薬会社三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)などを相手に損害賠償を求めている薬害肝炎訴訟で二十五日、新たに原告三十二人が全国五地裁に追加提訴しました。今回の提訴で、全国の原告総数は百二十八人になりました。
追加提訴したのは、東京五人、仙台一人、名古屋二人、大阪十六人、福岡八人。男性七人、女性二十五人で、現在の症状は、肝がん・肝硬変三人、慢性肝炎二十一人、無症候キャリア八人。請求金額は十九億八千万円。
福岡市内では、新たに提訴した実名原告、匿名原告、弁護団が記者会見。古賀克重弁護団事務局長が「国・製薬会社がいかに情報を公開せず、被害を知らない人がいかに多いか、隠された薬害なのかを示している。国・製薬会社は、司法で争うのをやめて、早期解決の道筋を考えるべきだ」と指摘しました。
福岡市の自営業、吉田かよ子さん(51)が実名を公表し、「毎日からだがだるく、思うように仕事ができず、自営で生活しているが、お金がなくなったら治療ができなくなって死ぬのではないかと将来不安です」と訴えました。
匿名原告の女性(20)は「(インターフェロン治療の)副作用できついんですが、元通り、元気になって好きな仕事について、元気に働きたい」と語りました。
一方、東京地裁に提訴した会社員久野郁子さん(48)=千葉県在住=は「実名を公表して気持ちを伝え、治療体制の確立を目指したい。偏見がなくなるよう声を出していく」とコメントしました。
C型肝炎訴訟をめぐっては、六月、大阪地裁が国や企業の過失責任を認め、約二億五千六百万円の賠償を命令。原告と国、企業側の双方が控訴しました。今月三十日には福岡地裁で判決が予定されています。