2006年8月29日(火)「しんぶん赤旗」
郵便集配
廃止延期ひろがる
地方議会に全労連陳情
日本郵政公社が全国千四十八局で郵便物の収集・配達(集配)業務を打ち切ろうとしている問題で、地元自治体の反対などによって各地で廃止延期を迫られる事態が広がっています。
郵政公社などの文書によって北海道、山口、長崎、熊本、大分の十五局の延期が明らかになっていましたが、さらに新潟の二十八局など、廃止延期は全国に広がろうとしています。
これらの廃止計画は、自民、公明両党が強行した郵政民営化法にもとづくもの。全国で四千七百の集配郵便局のうち、この九月から千四十八局について集配業務を廃止する計画でした。
ところが、この集配業務の廃止は、配達エリアの拡大、時間外窓口の閉鎖などを招き、サービス低下とともに郵便局員が配達、集金のさいに担っていた高齢者の見守りや災害時の情報提供にも障害をもたらします。
しかし、民営化法を審議した国会の付帯決議では、“現行水準の維持”“万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期する”などとしています。
このため、関係自治体から「身近な郵便局がなくなる」「約束を守れ」「過疎化に拍車をかける」「まちづくりに重大な障害になる」と反対する声があがっています。
集配業務が打ち切られる郵便局のある六百六十七自治体のうち、明確に反対している自治体だけでも、約15%に相当する九十九の自治体にのぼっています。
二十四日開かれた衆院総務委員会で、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問に郵政公社執行委員は「サービス面で個別具体的に自治体に話をうかがい、説明して納得を得て進める」と答弁。自治体との協議が整わなければ廃止時期を延期するとの考えを示しました。
こうした中で全労連は、住民のネットワークになっている地域の郵便局を守ろうと、新たな運動を開始しています。とくに、集配業務廃止計画にかかわる地方議会が意見書を可決するように、六百二十八の関係地方議会に意見書採択に関する陳情書を送付しました。
陳情書は、(1)地域住民の合意と納得をえない集配局の廃止再編は行わない(2)離島やへき地、中山間地の郵便局を維持し、現在の集配局機能を存続すること―の二点を求める意見書を可決するよう要請しています。