2006年8月31日(木)「しんぶん赤旗」
「国・企業はまず謝って」
薬害肝炎
恒久対策一刻も早く
原告 厚労相は話聞いて
「大阪判決を大きく前進させる判決だ。厚労大臣はただちに面談し、謝罪し、恒久対策を一刻も早く取ってほしい」―。国と製薬会社の賠償責任を認めた薬害肝炎九州訴訟の福岡地裁判決があった三十日、原告・支援者が早期救済を求めました。
原告らは、福岡市の「あいれふ」で記者会見。
全国原告代表でもある福岡県の山口美智子さん(50)は「国、製薬会社はこれ以上引き延ばすことは、患者の命を奪うもの。国は、一刻も早く解決に向けた取り組みをすべきです。(認められなかった原告もいるが)ここで止まっていられない。厚労大臣は患者と面談し、話を聞くことから始めないといけない」と語りました。
福岡県の小林邦丘さん(34)は「裁判に参加した人間だけの問題ではない。多くの人がC型肝炎の患者に、ならなくてすんだ病気だと、知ってほしい。そのための裁判です」と、今後の支援を呼びかけました。
熊本県の出田妙子さん(48)は「国、製薬会社は、判決を重く受け止め、謝罪してほしい。二十年の苦しみは癒えないけど、被害回復の第一歩は謝罪なくしては踏み出せない」と謝罪を求めました。
被害を認められなかったクリスマシンによる被害者の長崎県の福田衣里子さん(25)は、涙に声を詰まらせながら「(判決を聞きながら)じゃ、なんで病気にならなければいけなかったのかと思った。がんばってきただけにくやしい。(この課題を)かならず乗り越えていきたい。私はこれからもがんばる」と決意を語っていました。
東京訴訟原告団
「80年以降から責任」
3点にわたって評価
薬害C型肝炎九州訴訟の判決を受けて、薬害肝炎東京訴訟原告団・弁護団は三十日、東京・霞が関の厚生労働省内で記者会見しました。福岡地裁判決について三点について評価するコメントを発表しました。
評価する点は(1)製薬企業と国の責任を認めた時期について大阪地裁判決が製薬企業が八五年、国が八七年としていたことよりさかのぼって福岡地裁判決は八〇年十一月以降から責任が有るとした点(2)米国の食品医薬品局(FDA)が七八年に承認取り消しをしたこの時期に国と製薬会社は同製剤の調査・検討を行えば、八〇年十一月までには緊急安全性情報を出すなど指導すべきだったとFDAの警告を正しく理解したこと(3)輸血と併用した事例についても感染原因を血液製剤によるものと因果関係を認めたことを評価しました。
しかし、「クリスマシン」製剤による感染の責任についてまったく認めなかったこと、承認申請した時点からの責任について認めなかったことは「不当だ」と抗議しました。
同原告団・弁護団は三十一日正午から、厚生労働省前で要請行動を行います。