2006年9月3日(日)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
財源論編1
Q 消費税は社会保障に使われたの?
「庶民大増税 なぜなぜ問答」は、今回から「財源論編」に入ります。
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消費税が創設された時も、税率が引き上げられた時も、増税勢力は「社会保障のため」と宣伝してきました。
消費税が導入されてから今年で十八年目。社会保障は少しでも良くなったでしょうか。
たとえば、医療保険制度はどうでしょう。消費税が導入された当時、サラリーマンの健康保険の窓口負担は一割でした。消費税が増税された一九九七年に二割に増え、二〇〇三年からは三割と、負担が増える一方です。高齢者の負担も増え続けてきました。
年金はどうでしょう。サラリーマンの年収に対する厚生年金の保険料の負担率は、消費税導入時の一・五倍に増えました。年収五百万円の人なら、約十二万円もの負担増です。その一方で年金の給付水準は引き下げられてきました。介護保険も、障害者福祉も、生活保護も、改悪が繰り返されています。
このように、消費税ができてから、社会保障制度は良くなるどころか、悪くなるばかりです。
いったい、私たちがこれまでに払った消費税は、何に使われたのでしょうか。
政府は、消費税を増税する一方で、企業が納める法人税の税率を、消費税導入前の42%から、いまの30%まで引き下げてきました。地方税である法人事業税の税率も、12%から9・6%に引き下げられました。これに不況の影響が重なり、法人三税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税収は大きく落ち込みました。
八九年度から〇六年度までの十八年間の国・地方あわせた消費税収入を累計すると、百七十五兆円に達します。国民一人あたり百五十万円にもなる大きな金額です。ところが、法人三税の方は、税収が最高だった八九年度に比べて、九〇年度以降の十七年間で累計百六十兆円も減収になっています。
私たちが払った消費税は、法人三税の減収の穴埋めに、ほとんど消えてしまったのです。これでは社会保障に回すお金はありません。
「消費税は社会保障のため」というのが、増税の口実にすぎなかったことは明らかです。(つづく)
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