2006年9月12日(火)「しんぶん赤旗」
志位氏訪韓
韓国メディアは どう報道したか
「日本政界(の中の)正しい声」
“右傾化する主流と異なる”
日本共産党の志位和夫委員長の韓国初訪問は、韓国マスコミの大きな関心を呼び、連日、各種メディアをにぎわせました。東亜日報、ハンギョレ新聞が志位委員長へのインタビュー記事を掲載。テレビは、大手のMBC、SBSなどが「共産党の党首が初めて訪問」と報道しました。(ソウル=中村圭吾)
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韓国は、朝鮮半島の南北分断状況のもとで、反共を「国是」としてきた国。八七年の民主化を経て外国の共産党に門戸を開いたものの、共産主義は「危険思想」とされ、軍政下で左翼や民主化勢力弾圧に使われた国家保安法はまだ残っています。二〇〇三年六月、盧武鉉大統領が訪日時に志位氏と交わした会話の内容が国内で問題視されたことから見れば、今回の訪韓をめぐる報道は大きな変化です。
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追悼碑献花 熱心に取材
中央日報(電子版)は、訪問十日前の八月二十五日付で、志位氏の訪韓が予定されていることを報道。日本共産党について「九〇年代から韓国との交流に積極的だったが、国家保安法とソウルの反共感情などにより訪韓がこの間、実現されなかった」「(国会の)議席数は少ないが地方を中心とした草の根の党員組織が強固だ」と紹介しました。
東亜日報の志位委員長インタビュー記事の見出しは、「日本政界 小さいけれど正しい声」。「(日本共産党は)平和憲法擁護、歴史教科書歪曲(わいきょく)阻止、靖国神社参拝反対を一貫して主張している。右傾化する日本政界の主流とは異なる声だ」と紹介しました。
五日訪韓した志位氏が最初に訪れた西大門刑務所歴史館前で待ち構えたのは、五台のテレビカメラ、約五十人の記者。展示を見学し、独立運動家の追悼碑に献花する志位氏を熱心に取材しました。
韓国日報(電子版五日付)は「日本共産党代表初訪韓 “韓国と本格交流模索”」という記事を掲載。志位氏の訪韓目的は「韓国との交流を本格的に模索すること」にあるとしたうえで、「(かつて)韓国軍事政権関係者らの訪日に反対した日本共産党が、志位委員長の訪韓を通じ、韓国と韓国国民にどれだけ接近できるか注目される」と書きました。
また、聯合ニュースが写真を配信し、ハンギョレ、京郷新聞などが掲載しました。
国際会議の話題にも
SBSは六日のニュース番組で、西大門刑務所跡を見学する志位氏の様子を流し、「拷問室、獄舎、死刑場などを真剣に見て回った後、刑務所で殉国した愛国志士をたたえる追悼碑に献花した」と報道。「日本帝国主義の野蛮な拷問・処刑に立ち向かいたたかった韓国人たちに敬意と追悼の意を表すために来ました」とする志位氏の発言を伝えました。
MBCは五日夜の「ニュースデスク」でとりあげ、「西大門刑務所跡を訪れた日本共産党の志位和夫委員長は展示物を一つ一つきちんと見学、独立運動に対して深い関心を表した」と報道。「日本が過去の誤りを直視しなければならないと語り、靖国参拝問題や教科書歪曲問題などの懸案に対しても、右傾化する日本政界の主流とは違って反対の立場を明確にした」と伝えました。
ニュース専門チャンネルYTNは、西大門刑務所跡への訪問、林采正国会議長との会談、各党代表らとの会談を報道。聯合ニュースは、それぞれの記事を配信したほか、九日の記者会見も「日本共産党党首 “平和憲法改定阻止 全力”」の見出しで配信しました。
このほか、インターネット上で「ニューシス」「ニュースワイア」などが記事を配信。志位委員長と、開かれたウリ党、民主党との会談内容は、両党がそれぞれウェブサイトに掲載し、各種サイトに転載されました。
志位委員長についての多面的な報道ぶりは、アジア政党国際会議に参加した各党代表も含めて話題になりました。